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あの日、空は紫色だった  作者: アナ
14/30

おにぃの思いと雄介の決意

「ちゃんと説明して。

雄介に何が有ったの?

今、何が起きてるの?」


私はしっかりとみんなを見つめた。

もう覚悟は決めていた。

また、悲しい思いをしても、辛い思いをしても、もう逃げない。

これ以上逃げ続けたら、私はもっと苦しい思いをする。


私の覚悟を感じ取ったのか、まず夏希先輩が口を開いた。

「雄介は一昨日から行方不明よ。」

「理由は?」

「…能力者差別解消法の中身が、俺らに先に発表された。」

おにぃは言いたくなさそうな雰囲気だったが、それでも話始めてくれた。

「能力者の一般企業への雇用促進。雇用しない企業は1人分の給料の半分を罰金として国にを支払うこと。雇用人数はその企業の収支による。

能力を持った児童・学生の公立学校での教育を推進。教員に能力学の講習受講の義務化と生徒向けの説明会の実施。

能力者は企業・学校へ能力者であることの申請を義務づけるが、公言の可否はその学校・企業が定めてよい。

また、一般の理解の促進を図るため一般に向けた説明会も行っていく。

能力者への差別・虐待が確認された時には刑事罰に処する。

また能力者にはコントロール度A以上を義務化。危険能力者はS以上。

さらに、危険能力の度合いが高い順にS・A・Bとし、Aは国が指定する学校・企業等から選択し入学・入社すること。Sはそこから‘’選択し’‘という言葉が消えてる。

もっと難しい文言で書かれてて分かりにくくなってるけど、簡単に言うとこういう内容になった。」

「それって…」

私は呆然としてしまった。

「ああ、そうだよ!」

おにぃは怒っていた。

「つまり!…あくまで表向きは能力者が一般社会で生きられることを目指してる。

でも実際は、理由をつけて危険能力じゃない能力を危険能力にしてしまえば、ずっと監視できるってこと。一般企業に就職できる能力なんて限られるんだ。きっと…。

学校だって、学生のうちからコントロール度Sなんて簡単に取れるもんじゃない。結局、公立学校への転校なんか無理。」

頭を掻いたり地団駄を踏んだり…

こんなおにぃ初めて見た…

「雄介はそれに怒って?」

「いや、それは私たちの方で…」

夏希先輩がことの次第を話始めた。

能力者差別解消法の内容について政府の担当者から聞かされたあと、能学ではグループ関係なく、みんなが話し合った。

話し合いといっても怒りと不安の感情をぶつけ合うだけ…。

結局、答えが決まらない中、それでもこの内容は差別解消なんかじゃないことを訴えに、学園長と黒田先生、夏希先輩、おにぃの4人で行ったらしい。

しかし言い返された内容は全く変わらず、その上…

「‘’君たちが改善して欲しいところまとめたなら、1つや2つ聞いてやらないこともないが、その代わり条件がある‘’…そう言われた。」

夏希先輩たちの雰囲気が重くなる。

「条件?」

私がそう聞き返してもなかなか答えようとしない。

夏希先輩も早川先生も黒田先生も…、みんなが私から目を反らしていた。

特におにぃは‘’絶対に話したくない‘’いうオーラを出していた。

「予知能力者をよこせ、とでも言われた?」

私の言葉にみんなが驚いた顔をする。

どうやら正解だったらしい。

予想はしていたことの1つだった。

予知能力は利用価値が高い。

私みたいに予知夢を見る日もその見え方もバラバラでも、利用価値は有る。

なるほど…

雄介はそれに対して怒ったのか…


奈子がティッシュの箱を持ってくる。

「あーちゃん先輩、大丈夫?」

私はいつの間にか泣いていた。

1人で戦いに行った雄介

私に何も伝えず、語らないことで私に自由与え続けてくれていたおにぃ達…

やり方は違うけど、私を守ろうとしてくれた。

私はみんなに守られていた。

ずっと…


あの日も…


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