表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。

当人だけは真面目です

拍手用ページの短編が、いつのまにかこの長さになりましたので投稿と致します。


内容? ないよ。





 

 小学校のとき、ハナちゃんは登校班の並びからちょっと後ろの位置であたしの横につき、喧嘩腰でこう言い放った。


「しょうがねぇだけだからな! お前みたいなオトコオンナは一生結婚できねぇって父ちゃん母ちゃんが言うし! だから、なんだからな!」

「……ちょっとゴメン、いきなりすぎて素で意味わかんない。え、ハナちゃんあたしに喧嘩売ってる? 今日のマイクラやめとく?」

「喧嘩なんか売ってねーし! マイクラしに行くし! しょーちゃんが俺と結婚すんの!」

「やっべぇハナちゃんがナニいってんのかビタイチわかんねぇ」


 6年生男子の花村幹人ことハナちゃんは、まぁ男子にありがちなこととはいえ良く筋の通らない話し方をする。んでもって『しょーちゃん』ことあたし、飛田将子は、口喧嘩なら任しとけ。武力行使もやぶさかではなくてよ? 的な典型的小6女子だった。

 そんじょそこらの男子より口が汚い自覚は無いけど、男子とやり合っても負け知らずなのは単なる事実だから威張れることでもない。あ、口が悪いんじゃなくて汚いって表現なのは、使う単語が乱暴だから、なんだそうだ。

 ここらあたりはいまでも区別がついてない。お母さんからしょっちゅう怒られる。


「だから俺は! しょーちゃんを! 嫁に! する!」

「あたしは二次元じゃない。スマン。ならん」

「はぁ?!」


 よってこのときも出来るだけ丁寧な口調を心がけてた。喧嘩売ってないって言われたし、決意表明のようにキリっとしてるからには本気なんだろうし。でもさぁ、断言してもらっててなんだけど無理。嫁にはなれない。うちの父さんや母さん、兄ちゃんたちから漏れ聞くに、嫁って単語は二次元のキャラクターに対して使うものでしょうよ。

 あたしは淡々とハナちゃんの申し出を断った。ぶっちゃけると、嫁にされる=二次元限定=殺されるの三段論法が脳内に浮かんで怖かったんだよね。

 あとになって思い返してもここらあたり、我が思考回路ながら謎。

 ともかくあたしはハナちゃんのプロポーズを断り、ハナちゃんはくっそショックな顔をしながらいったん帰宅してウチに遊びに来た。マイクラしながら理想の家を建てて、門限の15分前までに相手方の家をどれだけ壊せたかを競う。その日はあたしの勝ちだった。

 次の日はハナちゃんの勝ち。




 中学生のころ、ぽつぽつと顔にニキビが出てるハナちゃんとは予想外にも疎遠にはならなかった。人生でいちばん精神的にも肉体的にも不安定な時期なのにハナちゃんは小学校時分と態度が変わんなかった。

 いつもあたしに対しては『普通』で、それがゆえに『年齢や立ち位置で態度が変わること、変わらされることを嫌がってた』あたしにしてみればそこらの男子よりか断然に話しやすかった。

 野球部に入ってなかったせいで坊主にもなってなくて、私服で見かけたときも変におしゃれしてなくて。あの年頃にありがちな押し付けがましい自己主張が感じられなかったんだろう、な。たぶん。


 息のしやすい、自然体でいられる幼馴染。


 一方のあたしはといえば女子中学生らしいツンツンさを万人に向けて発揮しつつ、トレードマークだったベリーベリーショートを少しずつ伸ばし始めた。

 男子を嫌って女子に同族嫌悪して。大人になりたくて、でもなりたくなかった。

 不平と不満が渦巻いてて、それでも八つ当たりは嫌いだったから出来なくて苦しかった。……こうして追ってくと、あたしのほうは順調に発達していってますな情緒が。典型的中二病はかかっておくに限る。拗らせると厄介らしいし?

 高校生には三つ編みのお下げスタイルをしたい、なんて、これまた謎思想による自己目標によりジョシコーコーセーを目指していたころ。


「しょーちゃんさぁ、好きな子、いんの?」

「こりゃまたヤケに唐突な話題だね。なに、また告白でもされたの? ……うーん、ハナちゃんはモテてるからそういうのわかるかも、だけど、あたしはモテないからなぁ。好きな子ってのがどういうモノなのかもわかんない。……や、えっと、えっと」

「焦んないで。しょーちゃんの言い分、俺が誤解してたことある?」

「ない」

「ん」


 あたしは陸上部でハナちゃんは卓球部にいた。部活帰りの時間が合ったときだけ、家の方向が同じだって理由で、なんとなくハナちゃんと並んで歩く。まだ学校にはちらほら他人がいたけど、どっちも人目を気にしてなかった。あたしたちが彼氏彼女の関係じゃないってのは広く知られてて、それはきっと、ハナちゃんが破格にモテる人物だったからじゃないかな。

 上級下級同級生、年齢選ばずしょっちゅう告られてたし。


「じゃあ、しょーちゃんはまだ誰かを好きになったことが無い?」

「ん。……けどそれ、誰にも言わんでな? その手の経験がないと、なんつーか女子力っていうか人間力として問題ありそうな感じする。……ぶっちゃけると、そっち方面での好きも嫌いも良くわかんない」

「ふぅーん」


 中学2年生の終わりは、いまにして思えば、あたしの疲れ果てたような告白で仕舞い上げた気がする。さっきもいったけど中二病真っ盛りのあたしにとっては恋愛感情よりも自分の精神抑制が重大事。この情緒不安定を制御するのに手一杯だった。

 誰かのことで頭をいっぱいにする余裕がないってこと。

 対照的に、ハナちゃんは落ち着いた人になりつつあった。まず話し方が変わった。まくしたてるような小学生時分の言い方じゃなくて、どこか慎重に言葉を選ぶ。成績もぐんぐん上がっていった。先行してた身長に体重が追いつきつつあった。


 一足先に大人になる、って単語を体現してたヒトだったよ。なんてイヤな中学生だ。


 大人になりつつあるハナちゃんは進路を決めてて、あたしは大学に行くかどうかから決めかねてて。

 なにもかも、どこもかしこも違ってた。

 とても中学生らしいあたし、なぁんにも出来なくてナニモノにも成れなくて、半端なあたしのコンプレックスになり始めてたハナちゃんだけど、けどまぁ幼馴染ってこういうもんだろ、とも思ってた。

 兄妹といっしょ。


 どんだけ嫌でも切りにくい関係。


 自分に正直になって付け加えると、いっしょにいること自体は嫌じゃなかった、ってのもある。人目じゃなくて関係を切ると家族とか友達関係からなんか言われそうだよなぁって打算もあった。

 けどやっぱりいちばん大きいのはハナちゃんの人柄。

 登校班からの付き合いって6年は優に超える。これだけ長いこと過ごせる相手って、つまるとこお互いの性格とか価値観が同じ方向に向いてるヒトなんだと思う。友達としては最適。

 同性なら。

 てれってれ歩きながらハナちゃんと話してると不意打ちのように時折、胸の隙間にジクジクしたモノが湧いて出るようになってたあたしの心情は、だから、思春期に差しかかってた、んだな。

 少なくともいっしょに歩いてて、「あ、このヒト男の人になるんだ」って実感しちゃうくらいには、うん、ハナちゃんの存在は大きかった。あたしの異性認識は、そういうわけでハナちゃんから始まったわけ。

 好きだ嫌いだじゃなくて、異性ってことを実感した日々。正確なところがもう特定できないくらいにゆったり自然と、ハナちゃんは男の子になる。





 それまで話してた男子がこぞって他人に見え始めた中1女子のアンテナに引っかかって、男女交際って単語が薄々出るくらいの中2には告られ始めて。

 そんで将来への進路決めして高校受験も終わった3年生の、さらに終わりごろ。


「しょーちゃんは大学とかもう決めた?」

「高校に合格して浮かれてる中3女子に対してかける言葉じゃないよね。決めてるよ。就職」

「っ、そう……。高校は離れちゃうけど、俺、しょーちゃんとは疎遠になりたくないんだ。まだこうやって話したい」

「あたしのほうは友達だと思ってる。だからハナちゃんがあたしを切らない限り、あたしからは関係を切らないよ」

「……友達?」

「うん」


 学校からの帰り道。ぴたっと足を止めたハナちゃんを訝しんであたしも立ち止まる。斜め後ろを振り返ると目線は同じだった。こっちのほうが何歩か前にいるから。隣に来ると微妙に向こうのが背が高いんだよね。


 あぁ、ハナちゃんはもう男子じゃなくて男の人に近くなってんだなぁ。


 真顔のハンサムさんがこれから先もイケメンになってく片鱗が、確固とした未来予想図になった瞬間をあたしは覚えてる。高校受験を経たハナちゃんは難関校への自力合格と生徒会長を無事勤め上げたって自負でいっそう落ち着きと自信を兼ね備えるようになってた。眩しいくらいの育成履歴だよね。

 思い出すまでもない。中学生最後の年はなかなか忙しかった。夏休み前に済まされる修学旅行直前の怒涛の告白ラッシュだとか、オープンスクール。中学校でのささやか規模な文化祭でも騒がれ方は尋常じゃなかったし、バレンタインはまさに狂想曲そのもの。進学先が地元じゃなかったこともあって、離れる前に思い出が欲しい子たちのアタックは合格発表のあとから回数を増した。

 総じて玉砕してたけど。

 ……いや、なんでそこまで詳しく知ってるのかって、あたしがいてもいなくても彼女たちはお構いなしに告白して来るからだよ。しかも隣にあたしがいるのに、ハナちゃんは知った事かとばかりに冷淡にその場で断ってくからさぁ。

 居心地が悪いのなんの。


「ハナちゃんに告ってくる数多くの女子へのお断り文句聞いて思ったんだけど、ハナちゃんは関係を切るときにはスパッと一刀両断するタイプだよね? っつーことは、もしもハナちゃんがあたしを友達にカウントするの止めたら、連絡からして無くなるんじゃないかな。メールとか電話しても返事がないとか、そっちでのお付き合いで忙しいのかなぁってやきもきするとか、そういうのするくらいなら大人しく連絡を待ってたい。ハナちゃんからの連絡が途切れたらハイそこまでよ形式がベストだと結論づけてみた。疎遠もなにも、あたしからは連絡をしない。卒業後のスタンスはそれでいい?」

「いやだよ」

「だよね、いいならそれで……うん?」

「いやだ」


 あたしの長口上を一言で叩き落とし、やけにきっぱりと言い切ったハナちゃんが一歩を踏み出した。条件反射のようにあたしは下がる。

 一歩。一歩。 しっぽ? しっぽ。

 あのとき、あたしはどんな顔をしてたんだろう。三歩ぶんくらいのあいだをあけて、そこから近づくのを止めたハナちゃんが小首を傾げてじぃっとあたしを見つめ、長い瞬きをした。


「嘘。……いまの『いやだ』を嘘ってことにする。しょーちゃんの言うとおりでいい。焦って逃げられるくらいならしょーちゃんに負担をかけないやり方で行く。連絡するときは基本俺から。それでいい?」

「ん」

「じゃあさ、ひとつだけ約束してよ。俺からの声掛けにだけはすぐ反応して? しょーちゃんの中で俺を他の誰よりも優先して。じゃないと俺だって迷う。友達認定が一方的だったら恥ずかしいし」

「……うん? うん」

「あと、彼氏ができたらイのいちばんに電話くれる?」

「うん?」


 ところどころ意味不明のところがあったけど良くあることなのでスルー。ハナちゃんと同じ方向に首をかしげて会話のラリーを重ねることに集中した。言われてることが妥当だなって判断したものには頷く。友達って言ってるわりにはこっちからの連絡はしないってズルいもん。優先させるくらい折り合うよ。

 ところで、なんで彼氏?


「……彼氏ができたら友達じゃなくなる?」

「新しくできた彼女に古くからの男友達がいたら、俺なら気にするし。連絡取りたい」

「そういうもん?」

「そういうもん。ちなみにしょーちゃん、俺とは付き合わないの?」

「ない」

「そっか」


 髪の毛伸びたね、とハナちゃんはあたしのこめかみを梳きあげる。いつの間に詰められたんだろう。ちょいとだけ上から延びてくる手は優しい。さらさらの長さは耳に掛かるけど結べなくて、校則でピンも禁止なもんで面倒。セミショート? ってヤツらしい。あたしに言わせると短めのおかっぱなんだけど。


「彼氏作る予定は?」

「高校で? いまんとこ無い」

「好きはまだわかんない?」

「ないなぁ」

「そっか」


 しょうがない子、みたいな滋味溢れる口角の上げ方は菩薩みたいだ。アルカイックスマイル? 合ってる? っていうか滋味って表情にも使うっけ?

 ハナちゃんだって中学生男子の癖に、なんでこんな悟った雰囲気だせるかな。羨ましい。初恋もまだで、自分の身体ですら持て余してバタバタするあたしとは大違い。

 大人みたい。


「卒業式は? いっしょに帰れる?」

「クラスとか友達関係での打ち上げがなかったらね。っつかハナちゃんモテるんだから予定は入ってると思うよ? 知らないだけで、誰かのスケジュールには名前が書き込まれてると思う」

「それは怖いな」


 肩をすくめたハナちゃんは自分のモテ度を把握してないんじゃなかろうか。うろんな目で見上げると手を握られた。おっきくて、手のひらはさらさら。

 骨ばってる。


 なんぞ、この状況。


 繋がれてる手を凝視してるあたしを鼻で笑い、ハナちゃんはそのまま歩き出した。いや男の子とこの距離維持で家まで帰るってのはナンカチガウ。コレジャナイ感。

 こういうのって、もっとこう、男女交際ちっくなアレじゃない? 甘酸っぱいっていうか、ぜんぶがぜんぶ初めての体験、みたいな。

 浮きワクドキを丸っといちどに頬張った感じがするもんなんじゃないの?


「離せよ」

「いやだよ」

「なんでだよ」

「わかんないしょーちゃんが悪い」

「……んぅ?」


 不思議ちゃん全開な発言を連発するハナちゃんは結局、帰りつくまで手を離してくれなかった。もちろんあたしとはずーーーっと指相撲みたく微妙な攻防を繰り広げてたんだけどね。サッカー部、あんがい素早いよね。

 それから半月後の卒業式。ハナちゃんは主張どおりに式後はあたしといっしょに帰ったし、お互いの両親も揃ってファミレスに行った。あのときのパフェはブルーベリーチョコだった。……え、あれ、なんでその組み合わせを頼んだんだっけ。

 覚えてるのは、『人生でもおっきなウェイトを占めるイベントがいっこ済んだ』寂寥感。ハナちゃんと距離が離れちゃう、漠然とした不安とか寂しさもあった。

 泣かないように急いでアイス食べて、こめかみキーンってしたのが卒業式のハイライト。




 高校生のころはあんまり記憶がない……嘘。あんまりにも判で押したように同じ毎日だったから覚えてることが少ないんだよね。普通なら高校生って人生で一番楽しい時期らしいんだけど、あたしの記憶は平日は資格だとかゲームとか本にまみれて、週末はハナちゃん、って刻まれてる。うん、いや、楽しくなかったわけじゃないよ? すっごく楽しかったよ?

 ハナちゃんは電車で通学、あたしは自転車で通学。向こうは帰りがすごく遅いからかち合うこともなくて、そのぶん週末をいっしょに過ごした。

 念願の二つ分けお下げ髪が出来るようになったのは高校3年生のころ。女子高で自由に伸び伸びと学んでたあたしにハナちゃんはカワイイ雑貨を買ってくれたり、ナチュラルにパフェを奢ってくれてた。バイト禁止なはずなのにどこから軍資金が出るのか不思議だったんだけど、さすがにそこまではプライベートすぎて聞いてない。

 あたしにできるお返しはせいぜい自販機とかコンビニのアイスくらいなのに、申し訳ないな、とは思ってた。ハナちゃんが嫌がるから奢り返しもそうそう出来なかったし。

 

 「女子高、どんな感じ?」

 「難関校、どんな感じ?」

 「……なんかねぇ、勉強ばっかしてる」

 「こっちはね、自由だよ。男の子の目がないとホッとする。ハナちゃんがらみでの緊張感もないし平和だね。お化粧の仕方とか教わったり、合コンでのふるまい方がレポートで回ってくるよ」

 「それほんと? 合コンなんてするんだ」


 目を丸くするハナちゃんが珍しくて、声をあげて笑った。あたしに合コンが無関係なせいで伝聞の恋バナの内容を詳しく覚えてないのを残念に思う。


 「合コンはしてるみたいだよ。レポートの中身はねぇ、男子からの好感度を上げる方法とかの項目が並んでたと思う。ごめん、もうちょい詳しく読み込んでた方が良かった?」

 「とんでもない。……しょーちゃんが合コンに行くのかと思ってびっくりしただけ」

 「っあー、そっちかぁ……。行かないんだよ。ハナちゃんの好奇心を満たせなくて悪いね。あたしさぁ、やっぱりまだ男の人は早くて」

 「そういうのは焦んないほうがいいって。時間の経過を大人しく待ってなよ」

 「どこのカウンセラーだ」


 しみじみ諭されて笑いあったあと、ハナちゃんのほうに彼女は出来てないか聞いてみる。あっちもまだらしい。ハンサムなのに、わかんないもんだ。

 男子高校生なのにイロイロ不憫じゃねぇ? って突っ込みには幼馴染で友達のあたしがいるから彼女の必要がないんだって力説された。はぁ、まぁそうかもね。ちょっとした買い物もとか出かけたいとき、家族とじゃ行きたくないようなところもあたしと行っちゃうもんねぇ。

 不自由がないのも問題か。


 「いっそ、しょーちゃんと結婚したいよ」

 「いやいや正統なる男女交際は目指そう? きちんと誰かを見つける努力はしなくちゃ」

 「しょーちゃんも?」

 「あたしは2次元で満足してる。……3次元はハードル高い」

 「言えてるね」


 頷き合ったあとはどちらともなくコーラを買ってきて乾杯する。ごくごくの音に合わせて動く喉仏を見ながら冷静に、「ハナちゃんとはないよ」って伝えた。だって、うーん。

 ……なんてーか。


 「ハナちゃんはあたしのランク外」

 「外なの?!」

 「付き合うなら、もっと、こう、適当なヒトを選ぶ。きっと今の時期から付き合っても就職してから別れるだろうし」

 「え?」

 「会社に入っちゃうと、生活習慣っていうか、考え方自体も違いすぎるようになると思うんだよね。だから面倒」

 「面倒なんだ」

 「それな」


 コーラを持て余してるとハナちゃんが引き取ってくれる。炭酸は好きだけど一本ぜんぶを飲みあげきったことがない。

 

 「就職して、何年か落ち着いて、もっと何年かしたら……そのくらいから誰かを好きになろうと思ってる。あたし高卒で就職でしょ。焦る必要ないよね」

 「まぁ、それは確かに」

 「子供のことがあるからタイムリミットはある。だからね、逆算して恋に落ちる時期を決めるよ。こんなに乾ききった恋愛感情を理解してくれる人なんてあんまいないだろうから、自動的にあたしの腹づもりを聞いちゃったハナちゃんは範囲適用外」

 「理屈は綺麗だね」

 「きれいなものはいいね」


 さらっと、どけだけ吹っ飛んだ理屈を聞いてくれる人がどれだけ貴重なのか、高校生にもなると薄々わかってくる。ハナちゃんはその貴重な人の中心。あたしはこの人を恋愛感情なんかで失いたくない。飲みかけのコーラ引き取ってくれて、当たり前に口付けて飲んでさぁ。

 大事な人なんだよ、ハナちゃんって。

 だから。


 ハナちゃんとだけは恋したくない。





 高校を出て就職したあたしを、ハナちゃんは変わらず気にかけてくれてた。大学生4年生って暇なのかな、なんてのんびり応対してた当時のあたしを蹴り上げたい。いやいやソレをいうなら最初からだっての。しみじみ回想入れてるあいだに不思議に思っとけよ。

 違う高校の生徒同士があれだけ頻繁に会えてた時点で、あたしはおかしいと思っとかなくちゃいけなかったんだろう。ほぼ毎週いっしょだったんだもんね。

 しかも、いっしょにいたっていうのもイベントとかじゃない。対戦ゲームしたり、気になる映画とかガンガン見に行ってた。言い訳するなら向こうの色気が無さすぎてて友達と全く変わんなかったんで、ってとこと、あたしが最初から対象外にしてたせいだ。

 あたしはきっと、すこぉし鈍いんだ。恋愛感情って奴に。


「あれ、飛田さんそれ婚約指輪ですか? にしてはシンプルだし……結婚指輪?」

「違うよ? 幼馴染がくれたの。んでもって、ほら、指って左右で微妙にサイズが違うでしょう? こっち側のココにしか入んない奴だからしょうがなくて」

「……うん」

「せっかくのプレゼントなのに、肝心なところで詰めが甘い男っていますよねぇ」

「…………うん」


 だから、就職してからも客観的事実って奴に思い至ってなかった。どうして男女合わせてあたしの指輪を聞いてくるのかイマイチわかんなくて、指に嵌めてる奴が有名ブランドとか名のある人の作品なのかなって同僚の女子に聞いたりもした。ちなみに答えは曖昧な笑み。

 生温かいともいう。

 んでもって明確な答えはもらえない。

 職場で何度かそういうやり取りをするうち、いつの間にかあたしにはお付き合いしてる人がいることになってた。付き合ってるっていうか、むしろ既婚者のような扱われ方なんですけど。これは理不尽じゃない? なんで存在してないあたしの彼氏が他人の脳内にいるんですかね?

 指輪をくれたハナちゃんにそれを愚痴りつつ、やっぱり指輪の位置が悪いんだよ、左の薬指は駄目なんだよ、ねぇだからサイズ直していい? みたいに聞いてみた。言下にダメ出しを喰らう。いわく、専門家でも成形済みの奴を延ばすのが難しい金属なんだそうだ。その代わりに安いんだって。

 金属買取店でも買ってもらえないほど価値が低いらしい。ハナちゃんがすらすら述べた理屈は通ってたし、素直に売り払うのを断念した。嵌めるのを止める選択肢、なんだかんだで阻止された記憶がある。

 最後のときに至っては押し問答する間にハナちゃんが持ってた封切りの映画チケットが示す時間が差し迫ってた覚えが。だからって急いで家を出たあとは映画の面白さしか覚えてない残念さよ。

 あの日に戻りたい。


「飛田さん、例の彼氏とはいつ結婚するんですか?」

「彼氏? いませんけど?」

「……あ、そうなんですか。すいません誤解してて」

「誤解?」


 就職して何年か経つとそういう会話も減ってくる。誤解って何ですかって、周囲の人たちに投げかけたあたしの疑問は常に曖昧な笑みで誤魔化された。性詩人式も無事終わらせて、そろそろ彼氏が欲しいなってようやくあたしが望みを抱く段に至って……ハッと気がついた。

 モテない女特有の雰囲気を醸しちゃってるのか、出会いもないってことにようやく思い至った。

 異性交流会みたいなやつどころか、会社での飲み会すらもロクロク誘われない事実に直面して。

 マジか、これは彼氏がいつまでもできないパターンじゃない? 焦った方がよくない?

 はたと現実に膝を打ったのはハナちゃんが大学を卒業するちょいと前。22歳になってた。

 番茶も出花、いま掴まえなくてどうする。花の盛りはけっこう短いよ?


「ということで、ハナちゃん。彼氏作りたいんだけどコツとかある?」

「そういうことなら全身全霊で全面協力する」

「マジで? さすが幼馴染。ありがたい。んーで、いつどこで紹介してくれる?」

「電話越しじゃよくわかんないかもしれないから実際に会おう。社会人なんだし飲み会ってことで。いや?」

「ヤじゃない! むしろ希望する! あ、でも酒の上でのマナーとか良くなかったらハナちゃんがその場で指導入れてくれる? あたしさぁ、なんでか知らないけど職場で彼氏持ちっていうか旦那持ち認定されてんのさ。飲み会とかあっても、さっさと帰されるんだよ。だからマナーがなってないかもしれないから」

「あ、職場で男が寄ってこないって前に言ってたヤツ? まだ継続してんの?」

「継続どころか既婚者が事実みたくなってきてる。噂は怖い」

「っはは!」


 爽やかに笑う受話器の向こうにひとしきり文句を垂れて、あたしは電話を切った。待ち合わせ場所と時間をメモしてスマホに保存する。ハナちゃんは大学生になって『子供っぽい大人』になってる。あれだと、さぞかし実際に社会人になったらモテるんだろうな。きりっとした表情とか素でかっこいいし。


 そんなハナちゃんのお友達は、んーふふ、どんなんだろうなーぁ。


 うっきうきの当日。あたしは待ち合わせ場所にハナちゃんしかいないことに不審を抱かなかった。いやだってハナちゃんがごく自然に「あいつはちょっと遅れるかも」って言ったからさぁ!

 普通は信じるじゃん? 嘘ついたことない男だし。


「さぁさぁまずは飲みなさい、しょーちゃん。こーんな綺麗におしゃれしてきてメイクも完璧お嬢さん。っんとに俺としては複雑極まりないお気持ちですよ?」

「ん? ビール不味いって意味? なんで?」

「なーんでかなーぁ。ふふ、だからアルコールのピッチあげちゃう」

「いやいや、あたしとしては彼氏予定の人に会うまで酔いたくないんだけど」


 普段どおりのだらっだらした喋り方でグイグイ空けていくハナちゃんのジョッキに目を剥きつつ、謎の対抗心が湧き出てあたしのピッチも早くなる。火照った頬が熱くなるころ、ハナちゃんは河岸を変えて美味しい水割りの店に連れてきてくれた。つまみが美味い。チーズもパスタもピザも最高。水割りがガンガン進むわぁ。


「……んーーーぅ。なぁんか忘れてる気がする、よ?」

「気のせいだよ、しょーちゃん。はいはいソレ空けちゃったら帰ろうね。俺ンとこでいいよね?」

「おっけー」

「…………しょーちゃんさぁ、しょーちゃんさぁ」

「んーぁ?」

「……んにゃ。だーいじょうぶ。これからはキッチリ俺が酒の飲み方まで教えてあげるから」

「必要ないから」

「あるから」


 くだんない言い争いに愉しくなってきて、グッとグラスを煽ったとこまでは覚えてる。

 それから、なんかえっらい気持ちイイこといっぱいされたのも。自分以外の肌に触れたことも、うん、断片的に覚えてる。

 切れ切れの記憶の中、草食動物だとばかり思ってたハナちゃんがお布団の中ではバリバリの肉食獣だったって驚きも……ちびーっと残ってる。


 けど、これはない。


 ガンガン痛む頭は二日酔い。トイレと水飲みと風呂をトライアングルで回ること2回。吐くものも無くなった空っぽの胃を宥めながらハナちゃんが作ってくれたインスタントの味噌汁のんで、また吐いて。

 完全グロッキーなあたしの目の前にあるものは、なんとびっくり緑色のラインも目に鮮やかな婚姻届。


「こ……れが幻のツチノコ?!」

「無機物を生き物にしないでくれる? 良かったね、しょーちゃん念願の彼氏ゲットだよ」

「彼氏じゃなくて旦那ゲットじゃない?!」

「ツチノコよりは、きっとレアモンスター」

「その自信がどこから来たか50字以内で述べよ」

「しょーちゃんをこの世でいちばん愛してるのが俺だから」

「帰れ」

「ココ俺ん家」


 鎮痛剤が効いててもグッタリからは回復しない。二日酔いって最悪。もう二度と酒は飲まない。心中で誓いながら意味不明な悪趣味ジョーク、彼氏を抜かして旦那の存在を約束した紙を破る。いらん。

 あたしが欲しいのは彼氏であって、ハナちゃんの名前と印鑑記入済みの婚姻届じゃない。

 長い付き合いはこれだから困る。こういうときにあたしがどういうふうな行動に出るのかなんて知り尽くされてる。ハナちゃんはテーブルの上に新品をズラリ並べて残機数をビジュアル化してみせた。マジか。チートか。残機10越えはズルくないか。


 黙って片っ端から破ること12枚。


 最後の1枚の手触りが違うことに気がついて手が止まった。よくよく見るとこれだけ藁半紙。ハッと顔を上げハナちゃんの目を覗き込む。答えは目に書いてある。いままでに破った方を手に取って確かめた。はい、コピー用紙の手触りですね。いやいやあたし、気がつこうよ。いくら頭に血が上ってたからって。


 ……なんで、ここまで頭に血が上るの?


 よーし、落ちつけあたし。怒るより先に説明を求めるんだ。まずそれには深呼吸が必要ですね。すーー、はーーー。はーーー。

 落ち着けあたし。ココが踏ん張りどころな。

 ざらりとした手触りを指の腹でなぞる。力強く筆圧高い署名はハナちゃんのモノ。男らしくて角張ってる。


「……頭にきた」

「そうみたいだな」

「カッと来る強さが大きすぎる、意味を考えたい」

「時間を上げるにやぶさかではないが期限は切らせて。あと30秒」

「短けぇ?!」


 はい、いーち、にーぃ、とカウントアップされてくと焦れる。意味なく焦って、どもって、きょどついて。


「え、でも待って、そんな、前振り無かったくね?」

「あったよ。ずっと。じゅーご、にーじゅーう」

「飛ばし過ぎだよハナちゃん!」


 突っ込んだあと、我ながら途方に暮れた声でハナちゃんの名前を呟くとカウントアップが止まった。仕方ない子だなぁって、いつもの菩薩の笑み。


「しょーちゃんは彼氏が欲しかった。俺はずーーーーーっとしょーちゃんが好きだったし嫁にしたかったし、結婚するつもりだったし、昨夜はナカで生で出したから責任も取りたい。なんか問題あるかな」

「倫理上ありまくりだよ……」

「でも、嫌じゃない」


 ぐぅ。


「しょーちゃんの性格で、真面目な話、本気で嫌なことされたら、いまごろ相手は半殺しか刺されてるかのどっちかだと思うんだよね」

「そんなことなかったよ!」

「……『た』?」


 ふぅぅっ、と。

 ハナちゃんの纏うオーラがどす黒く染まる。見たことないような怒りの波動。おぉぅ勇者よ、凍てつく波動を浴びせられた気分がいまこそわかりましたぞよ。こりゃ素でビビるわ。

 勇気爆上げも防御力も攻撃力も無かったことにされた。

 あたし本来のパラメータに戻った気がするぜ。丸裸で魔王に立ち向かう村人がいるか? 勇者でもないのにどうして戦うの。

 むしろそれは蛮勇です。


「待てハナちゃん。誤解がある。語弊もある」

「なんの」

「ハナちゃんが暗に示唆してるような、えっち方面の嫌なことはされてない。いい? 大事なとこだよね? 聞いた?」

「……それ以外に嫌なことってある?」

「クソほどある」


 凍てつく波動第二段。ふーはは、しかし魔王よそれは無駄だ! なぜならもはやパラメーター上昇の呪文をかけてないからな! つまりハナちゃんがどれだけ怒っても混乱もしてないってことだ!

 ん。あれ? 逆か、怒った方がいい、のか?


「ともかく、そのなんだな、あれですよアレ、え、えろ方面にはな、とんと、その、無沙汰を詫びてもらわぬと釣り合いの取れぬくらいにじゃな」

「うん」

「……くっそ、なんなんだよハナちゃん! なんでハナちゃんがそんな怒るんだよ!」

「嫁だから?」


 ぐぅ。

 この会話の行きつく先が見えてこない。逸らしたかと思えば元に戻されてぐぅの根も出ない正論が突きつけられる。いや待って正論か? ほんっとーーに議論の方向性は正しいのか?


「お前の口がどの正義を語る!」

「右手が光って唸ったときだよ」

「……ハナちゃん」

「しょーちゃん、そろそろ観念して。逃げ場所なんて用意してあげてない。ゴメン。囲い込み済み。しょーちゃんが思いつけるような脱出方法、自体が無い」

「ぐぅ」

「そもそも論として、俺以外の誰と結婚するの」


 ぐっさり。


「い、いつかどこかで」

「素敵な出会いがある前にぜんぶ潰す」


 怖ぇよ。菩薩の笑みどこやったよ。それじゃ阿修羅像だよハナちゃん。横向いていつもの菩薩顔よこせ。


「よーーーく考えて。しょーちゃん。前提として、彼氏はもう必要ないでしょ」

「あるよ! なんかしらこう、ドキドキするような、あまじょっぱくてさぁ!」

「塩辛いのかよ。それとも酸っぱいほう?」

「え、あれ、どっち?」

「まぁ俺と結婚すればもれなく五味すべてがついてきますけどね!」

「どこのグルメ漫画?!」


 頭がグルグルしてきたので破ってたコピー用紙をさらに八つ裂きの刑に処した。一枚を4回破ったところでハナちゃんに抱き寄せられ、キスされる。あんまりにも突拍子が無かったもんで舌の侵入まで許してしまいました。母さん私はいまキスされてます。

 まう。

 なう? 違う、『ます』。現在進行形。


「?! っ、?!」


 膝の上に横向きで抱き上げられて、ハナちゃんの唾液の味を知る。二日酔いの脳では処理できない。

 ヌメヌメしたのが口の中を這いまわって、自由自在に『自分のモノじゃない』なにかが咥内を探る。甘くて、そのぶんソレが怖いと思った。他人の粘膜が甘いってなに。美味しいって、……困る、そんなの。

 幼馴染のベロちゅーが気持ちよくって困ります。


「…………これ、なんてラノベタイトル?」

「ずっと昔から好きだった幼馴染が鈍すぎてお手上げだから、よし、もう囲っちゃおう」

「ノータイムで捻りだすなよ」

「考えることでもない。素直に述べただけ」


 ちゅ、ちゅ、と軽いキスが顔面の至るところと髪の毛に落ちる。どうしよう、気持ち悪くない。止めて欲しくない。

 ハナちゃんがダダ漏れで垂れ流す、臆面もない口説き文句がアルコールもかくやの酩酊ぶりをあたしに与える。


「ハナちゃん」

「結婚してよ、しょーちゃん。幸せにするから」

「……」

「だいたい、誰かと付き合うんだったらイチからの関係構築だからね。しょーちゃん、いまさら知らない男と初めましての挨拶からするつもり?」

「あ、ハナちゃんと結婚します」

「だよね」


 そこらあたりの面倒臭さを突けばしょーちゃん、ゼッタイすぐ落ちると思ってたよ。

 諦念まじりにハナちゃんがあたしの弱点を貫いた。ちょっとだけ、ちびーーーっとだけ、申し訳ないなぁって反省する。読まれすぎてて図星が痛い。

 でもね。

 ハナちゃんじゃない、他の誰かと今更なにを築いても届かないだけの絆には気がついたからヨシにしてくれるかな。きっちり自覚したから許してよ。ごめん。

 いままでゴメン。


「友達だったし、彼氏だったし、旦那になるんだね、ハナちゃん」

「子育てするときは戦友にもなるつもり」

「ん」


 ぎゅぅって抱きしめられた、同じ強さで抱きしめ返す。戦友の場合は頼りにしてるよ、って小さく呟いたつもりだったのに律儀に拾われた。キスが再開される。

 するするって布団に逆戻りさせられて、指輪の意味にようやく気がついた。小学生の時からずぅっと求愛されてたことに思い至って顔から火が出るかと思った。


「……もしかして、あたし、鈍い?」

「ん。けど、そこが好き」

「ぐぅ」

「かわいいしょーちゃん。俺に囲われて掘りなんて内も外も埋め立てられてんのに気がつかない。俺ね、そういうしょーちゃんが好きなの。全力で守るし、全力で虫退治に乗り出すから」

「?」

「意味わかんなくていいんだ。俺だけが知ってれば。ここも。こういうのも。俺とだけの約束が、あの緑線の藁半紙でしょ。あとで役所に出しに行こう?」

「……うん」


 ハナちゃんの声でかき乱される思考で理解できたのは、かろうじて『あたしたち、結婚します!』ぐらいのもので。

 それが嫌でも回避したい未来でもないんだから、そうだよね、たぶん間違ってない。


「ハナちゃんと、結婚する」

「ん」


 ほら。声に出して違和感ないもん。恋も愛も知らないあいだに唐突に結婚することになっても。





 いいんだ。当人だけは真面目なんだから。







はぁ。という話でした。私はどうにも幼馴染物が大好きなのですね。囲って逃げ場をなくしてからの告白とか、大好物です。

こんなに鈍い女がいるか?という疑問ですが、相手の男の子のがあまりにもかっこよかったため、自分を対象外としていた故、だとお思い下さい。脳内補完大事。書けよ。

ちなみに、普通に彼氏ができそうなチャンスは男方が事前にことごとく潰してます。小学校の登校班で告白したら誰も手が出せねぇよ。

中学の一緒に下校もしかり、指輪しかり。腹黒タグが必要でしたでしょうか。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ