3-6 ギーツを捉えたもの
長文なので分割してアップしてあります。
枝番のあるものは一つの文章です。
サブタイトルは便宜上付与しました。
笑みを絶やさないギーツが語ったのは次のようなことだった。
ビゼア大陸の北寄りに位置するヤンハの出身であること。ヤンハを構成する砂漠の一つを統治する漠主の子息であること。長く旅をしていて、旅先で耳にした王選びに思い立って参加を決めたことなどだった。
ビゼアはギデルの南東にある大陸だった。ほとんどの土地が砂漠か、さもなければ熱帯域だ。中でもヤンハは砂漠でできた統令地として名高く、魔界の中でも暑い土地の代表として人の口に上る。広大な砂漠を統轄する漠主は令主と同等の扱いだ。親の地位に関して言えば、ギーツとリアは似た境遇にあった。
「まあ、この辺はどうでもいい話なんだ」
「どうでもいいなら、しないでよ」
「そうツンケンしなさんな。前振りってことさ。大事なのは、おれが美しいものが好き、ってことだ」
「?」
リアはギーツの言葉が素直に飲み込めなかった。戸惑っているとギーツがアルを見た。
「あのドロスとの一戦は素晴らしかった。光の爆発を見た瞬間、背筋が震えたよ」
ギーツの声には紛れもない賛嘆の響きがあった。リアもアルに視線を向けた。心の中でギーツの言葉に賛同していた。アルが体の前で両手を振った。