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魔王になるには?  作者: 水原慎
第二章 交叉
95/312

3-3 ギーツ・バルファイク

長文なので分割してアップしてあります。

枝番のあるものは一つの文章です。

サブタイトルは便宜上付与しました。

 アルとリアは、丸屋根の建物の一つに声をかけてきたペアとともにいた。

 求法院の前庭、胞奇子の宿泊棟側で端に近い場所だ。遠くに大広間の建物と建物の前の大きな噴水が見える。訓練室が調制士の部屋にあるためか、人の姿はさほどない。

 小さな建物は、丸屋根を八つの柱で支えた形をしていた。中央には丸いテーブルがあり、四つの金属製の椅子が囲んでいる。細い金属の棒を優美な曲線で組み合わせた椅子は見た目の割に軽い。柱の間に壁はなく、椅子の後ろに当たる部分に人の腰の高さほどの仕切りがあった。他の四つの柱の間が出入り口になる構造だった。周囲は、まばらな植栽の他は緑の絨毯だ。

 四人は胞奇子同士と調制士同士が隣り合う形で座っていた。アルの前には相手側の女性種が、リアの前には男性種がいる。アルはリアの左だ。

 男はギーツ・バルファイクと名乗った。褐色の肌にくすんだ金色の髪をした優男だ。クセのある金髪を無造作に後ろに流しており、首筋を隠すほどに伸びた髪の毛はたてがみのようにも見えた。稚気に溢れた青い瞳が穏やかにリアを見つめている。精悍に仕上がりそうな面長な顔立ちが眠たげなまなこのために微妙に崩れ、甘い雰囲気を醸し出していた。

 黙っていても近づく女がいるタイプね。…あたしの好みじゃないけど。

 リアは思った。

 ギーツは求法院の制服に身を包み、左手に包帯をした姿をしていた。そのため、リアには二人の正体がおおよそ掴めていた。力の加減も満足にできない出来損ないの調制士に、そんな調制士を選んだ間抜けな胞奇子として噂になっていたペアだ。求法院のスタッフも割と口さがない。初対面なのに誘いに乗った理由でもある。

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