3-2 友達はいらない
長文なので分割してアップしてあります。
枝番のあるものは一つの文章です。
サブタイトルは便宜上付与しました。
ここにいる人間は、たまたま同じ場所に集まった同世代の少年少女に過ぎない。ただ一つの魔王の座を目指す以上、交流はむしろ避けるべきだ。
中庭にいるグループを眺めながらリアは考えていた。
魔王になろうとする人間に友達はいらない。むしろ、足かせになる。
冷静に判断しながらも、リアはアルの意向を訊いてみようと思った。調制は二人の共同作業だ。全てをリアの思い通りにはできない。
「どうする? あたしたちも誰かに声をかけてみる? それはそれで何か得るものがあるかもしれないわよ?」
傍らにいるアルに水を向けた。単独で活動するのもグループで意見を交換するのも、どちらの選択も有益なものを含んでいる。最後の判断は魔力を磨く当人に任せるのが妥当に思えた。
少しの間、考えてからアルが言った。
「いや、いいよ。やるべきことは分かってるんだ。話している暇があったら、少しでも力を高めるための努力をした方がいいと思う」
「そうね。あなたには、そのやり方が合ってるかもね。下手に関わるといいように利用されそうだし。さもなきゃ、不意を突かれてリタイアとか」
「…何だか、ひどい言われ様だね」
「だって、そうとしか思えないんだもの」
抗議するアルにリアが意地悪く笑っていると声がかかった。
「そいつぁ、弱ったな」
二人は声のした方角を見た。
後ろに、笑みを浮かべた背の高い男性種と小柄な女性種のペアが並んで立っていた。