表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
魔王になるには?  作者: 水原慎
第二章 交叉
93/312

3-1 集う胞奇子と調制士

長文なので分割してアップしてあります。

枝番のあるものは一つの文章です。

サブタイトルは便宜上付与しました。

 アルとリアは前庭に立ち、談笑する胞奇子と調制士たちを眺めていた。訓練を終え、遅めの昼食を食べた後だった。

 求法院の敷地は広く、多くのスペースがあった。中でも男性種、女性種それぞれの宿泊棟の前に広がる庭は一際大きく、植栽を幾何学模様にしつらえた庭園となっていた。前庭には中庭のような花壇や池はなく、丸屋根を備え、下にテーブルと椅子が付属した小さな建物が植栽の合間にあった。丸屋根の建物は庭園のそこかしこにある。

 求法院は建物の近くに木のない構造をしていた。地面は短く葉を茂らせた植物でできた天然のカーペットだ。二人の眺める胞奇子や調制士たちは地面に腰を下ろして思い思いの格好でくつろぐか、丸屋根の下で椅子に座っていた。今日の日差しは柔らかい。

 胞奇子と調制士の集まりは様々だった。ペアが隣り合って円を作っているグループもあれば、同性種同士が多数集まって話をしているグループもある。二組のペアが丸屋根の建物に座っている姿もあった。

 不思議なもので、魔王の座をめぐる競争相手であるにもかかわらず争う様子はなかった。一年後には蹴落とし合うことになるのを互いに承知しながら彼らも彼女らも寄り集まっている。人には元々群れを作る習性がある上に、魔王を目指す不安とプレッシャーが仲間を求めさせるのだ。同じ境遇の相手を見出すことでつかの間の平安を得て、試練によってふるい落とされる過酷な現実を忘れる。それは、直視しなければならないものを見ないことでやり過ごすある種の自己欺瞞だ、とリアは思っていた。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ