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魔王になるには?  作者: 水原慎
第一章 邂逅
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1-8 二つめの試練

長文なので分割してアップしてあります。

枝番のあるものは一つの文章です。

サブタイトルは便宜上付与しました。

 よく言うわ。

 リアは呆れ顔で思った。

 ドロスの到着自体遅かったのだ。少年が来なければ最終の到達者はドロスだった。だから服が間に合わずにいまだに帯姿のままだ。

 調制士や胞奇子が着る制服は相転儀で作る。各々の体形に合わせて作成するので体によく馴染む。とりわけ採寸の時間が十分にある調制士の場合は顕著だ。リアの制服も配給された時から違和感なく着用できた。ドロスは体形もサイズも並外れているので余計に時間を要しているに違いなかった。

 …まあ、焦るのも理解できるけどね。

 調制士は胞奇子を理屈のみで選ぶわけではない。人としての相性という意味では好みの影響も受ける。いくら魔族でもあまりに粗暴だと敬遠する調制士もいるだろう。リアもその口だった。

 あいつと組むぐらいなら、他のどんな男性種でも受け入れる。

 心の中で断言した。

 最終日となり、パートナーの決まっていない調制士はさほど多くない。調制士の獲得は事実上、二つめの試練だった。胞奇子同士の諍いも起こるべくして起こっていた。

「ぼくは決まり通りに森を抜けただけだよ…」

「やかましいっ!」

 少年の抗弁をドロスが一喝し、さらに因縁をつけた。

「大体よお、どうして王選びなんぞに参加しやがった? てめえみてえなチンケな野郎が魔族の頂点に立てると本気で思ってんのか? あ?」

 ドロスは凶悪な目の細め方をした。顎をしゃくり、少年を見下ろして威圧する。

 少年は身を竦めながらも話を続けた。

「それは…」

 少年の言葉が途中で止まった。俯いた姿は何かの思いに捉われているように見えた。

「それは…、何だよ?」

 ドロスが促すと、少年はようやく顔を上げた。

「…親が、死んじゃったから」

 短く言って、少年は再び俯いた。

 ドロスが鼻を鳴らした。

「食い詰め者かよ。成り上がろうとするのは結構だがな、それだけの理由で勝ち残れるほど王選びは甘くねえんだよ」

 ドロスが一歩前へ出た。少年はびくついたように顔を上げた。

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