2-18 ヴァン・キ・ラーゴのリング
長文なので分割してアップしてあります。
枝番のあるものは一つの文章です。
サブタイトルは便宜上付与しました。
上空の異変に気づいたアルが上を見上げた。
「―!」
急降下してくるヴァン・キ・ラーゴを避け、アルは前方の空間に逃げた。床を蹴って身を投げ出す。大きな着地音が二つ響いた。近くのヴァン・キ・ラーゴに注意を払いつつ膝を立てた時には、二体のヴァン・キ・ラーゴが先刻までアルのいた場所に立っていた。
「そんなつもりないわよ。逃げ出さないか、ちょっと疑ったけど」
「そんなことしないってば!」
「いい心意気だわ。その調子でお願いね」
リアがにこやかに言うとヴァン・キ・ラーゴが包囲の輪を広げた。四体が角に立って大きな四角を形作った。他の四体は辺の中央に立った。ヴァン・キ・ラーゴの囲った面は、ちょうど肉体での対戦用のリングほどの大きさだった。最初に蹴りを放った一体が中央でアルと対峙した。
「訓練が目的だから、戦闘域を制限させてもらったわ。まずは一体、倒して」
「分かった」
アルが光の短剣を構えた。切っ先をヴァン・キ・ラーゴに向け、わずかに腰を落とす。真剣な顔つきになった。