2-17 ヴァン・キ・ラーゴに包囲されたアル
長文なので分割してアップしてあります。
枝番のあるものは一つの文章です。
サブタイトルは便宜上付与しました。
「さっさと用意しないと、さっきより危ないわよ」
言いながら、リアが台上の残りの金属球に手を伸ばした。手にする端から無造作に左右に放り出す。金属球は一体目と同様に空中で変形し、ヴァン・キ・ラーゴに成り代わった。左右に三体ずつ配置されたヴァン・キ・ラーゴは、大きさの異なる移動の軌跡を描きつつアルの側面を包囲し、一部は背後に回りこんだ。残り二つの金属球をリアはアルの上に放り投げた。放物線を描いた金属球は他と同じくヴァン・キ・ラーゴに変化した。上への逃げ道も塞ぐ念の入れようだった。
「ちょっ! 待ってよ、リア!」
「もう遅いってば」
アルが慌てて右手に光の刃物を出現させた。指を揃えた手を光で包んで刃先を伸ばした短剣のような武器だった。リアは顎に片手を当て、もう一方の手で肘を支えた姿で眺めていた。完全な傍観者の姿だった。
「ぼくを殺す気!?」
一体目のヴァン・キ・ラーゴから離れようと後ろを向いたアルが叫んだ。周囲は六体のヴァン・キ・ラーゴで固められていた。