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2-16 希少さは、それ自体が力
長文なので分割してアップしてあります。
枝番のあるものは一つの文章です。
サブタイトルは便宜上付与しました。
「あなたの相転儀はとても希少なの。希少さは、それ自体が力よ。実戦でも大きなアドバンテージが見込めるし、鍛えればさらに有利さは増す。分かる?」
「分かる…、けど…」
アルが苦しげに顔を歪めた。ヴァン・キ・ラーゴの姿勢が少し変わっていた。光球の上の脚の曲がり具合が増した様子は下方への圧迫を示していた。
「理解できたら、武器の用意をお願い。次は攻撃することを覚えてもらうわ」
「でも…、このままじゃ…」
アルの様子は変わらず苦しげだった。リアは軽く息を抜いた。
「同時は無理か…。まあ、まだいいわ。今後の課題だから覚えておいてね」
「…分かった…よ」
返事を契機にヴァン・キ・ラーゴが踵を外した。光の球も消失する。アルが腕を下ろして大きく息を吐いた。