2-15 怪我するようなパートナーならいらないわ
長文なので分割してアップしてあります。
枝番のあるものは一つの文章です。
サブタイトルは便宜上付与しました。
「だから、教えてあげる。あなたの力が何かを!」
リアが語気を強めた瞬間、ヴァン・キ・ラーゴが間合いを詰めた。音も無くアルの前まで移動したヴァン・キ・ラーゴは脚を振り上げ、脚の動きを追って見上げたアルに対して高速で踵を打ち下ろした。
「―!」
目を見開くアルを直撃すると思われた刹那、ヴァン・キ・ラーゴの踵は光の壁に阻まれていた。アルを取り巻く壁は完全な球形をしていた。ヴァン・キ・ラーゴの踵を乗せた今も歪み一つ見受けられない。光球の中でアルが交差した腕を振り上げていた。
歓喜の笑みをリアは浮かべた。
「素敵。相転儀にもあなた自身にも傷一つついてないなんて」
「無茶だよ、リア!」
光の球の中からアルが抗議の声をあげた。
「受けきれなかったらどうするの!?」
「大丈夫よ。あなたの話を聞いて、このぐらいなら平気だと思ったもの」
「平気じゃなかったらどうするつもりだったの?」
「その時は治癒室に駆け込むわよ。それに、防ぎやすいようにわざわざ大きなモーションにしてあげたじゃない。正直、これで怪我するようなパートナーならいらないわ」
アルが顔を強張らせた。リアはそ知らぬ顔をしていた。