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魔王になるには?  作者: 水原慎
第二章 交叉
85/312

2-15 怪我するようなパートナーならいらないわ

長文なので分割してアップしてあります。

枝番のあるものは一つの文章です。

サブタイトルは便宜上付与しました。

「だから、教えてあげる。あなたの力が何かを!」

 リアが語気を強めた瞬間、ヴァン・キ・ラーゴが間合いを詰めた。音も無くアルの前まで移動したヴァン・キ・ラーゴは脚を振り上げ、脚の動きを追って見上げたアルに対して高速で踵を打ち下ろした。

「―!」

 目を見開くアルを直撃すると思われた刹那、ヴァン・キ・ラーゴの踵は光の壁に阻まれていた。アルを取り巻く壁は完全な球形をしていた。ヴァン・キ・ラーゴの踵を乗せた今も歪み一つ見受けられない。光球の中でアルが交差した腕を振り上げていた。

 歓喜の笑みをリアは浮かべた。

「素敵。相転儀にもあなた自身にも傷一つついてないなんて」

「無茶だよ、リア!」

 光の球の中からアルが抗議の声をあげた。

「受けきれなかったらどうするの!?」

「大丈夫よ。あなたの話を聞いて、このぐらいなら平気だと思ったもの」

「平気じゃなかったらどうするつもりだったの?」

「その時は治癒室に駆け込むわよ。それに、防ぎやすいようにわざわざ大きなモーションにしてあげたじゃない。正直、これで怪我するようなパートナーならいらないわ」

 アルが顔を強張らせた。リアはそ知らぬ顔をしていた。

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