2-14 何するつもり?
長文なので分割してアップしてあります。
枝番のあるものは一つの文章です。
サブタイトルは便宜上付与しました。
アルが頷きを返した。リアは満足そうな表情を浮かべると片手を開いて扉に向けた。
次の瞬間、扉を中心にして光の波紋が広がった。天井や壁、床の平面をなぞって広がる波紋は薄い青色まとって発光していた。波紋に覆われた部屋は境界を喪失し、不可視な領域となって広がった。膨張は瞬時に終わった。拡大した部屋は末端を視認できないほどの奥行きと高さを備えた空間に変貌していた。扉は消失し、内部に存在するのは二人とヴァン・キ・ラーゴ、そして金属球の置かれた台のみとなっていた。
リアがアルに視線を戻すと、立ったままでいたヴァン・キ・ラーゴが動き出した。薄い青の光が覆う床はヴァン・キ・ラーゴの歩みを受け止め、重々しい響きを発した。アルが顔を引きつらせた。
「何するつもり?」
ヴァン・キ・ラーゴに視線を向けつつアルは後ずさりしている。
「あなたが自信を持てないのは、自分の力を知らないからよ。知らないものに自信を持つことなんて誰にもできないし、知らない領域に踏み込むのは誰しも怖いもの。知ってこそ踏み込める」
「…そ、それで?」
リアがにこやかに説明する間にもヴァン・キ・ラーゴはアルに近づき、アルは同じだけ遠ざかった。