2-13 想の対象に働きかけることで相は変わる
長文なので分割してアップしてあります。
枝番のあるものは一つの文章です。
サブタイトルは便宜上付与しました。
「あなたは相転儀についてどんな風に教わった?」
「どんな風って…」
「通常は親から教わるわ。時期ややり方は人によって違うけど、力を使う方法や考え方…、意識の集中の仕方とか」
「それなら、ぼくの場合は母さんだね。コップに入った水を飲みたい時、手を伸ばして口に運ぶのと同じように対象に働きかけるのが相転儀だって。コップを動かす時に使うのが肉体なら、相転儀の時は魔力だとも言ってた」
「そうね。その例えは適切だわ。でも、抜けている点が一つある」
言いながら、リアはヴァン・キ・ラーゴに歩み寄ると腕に触れた。
「それは、どちらも人の思念が先にあるということ。まず、心に思わなければ何も始まらない。相転儀は想転儀。イメージが大事よ。最初にしっかりと思い描くことができれば、力は手に入れたに等しい。後は形にするだけ。もっとも、コツを掴むまではそれはそれで大仕事だけどね」
アルを振り返ってリアは笑い、すぐに表情を引き締めた。
「想の対象に働きかけることで相は変わる。でも、あたしたちは世界を成り立たせている理を利用しているだけであって、理そのものを作り出しているわけではない。だから、決して思い上がってはいけないわ。これも大事なことだから覚えておいてね」