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2-8 アルの経歴
長文なので分割してアップしてあります。
枝番のあるものは一つの文章です。
サブタイトルは便宜上付与しました。
「あなたの訓練とは関係ないけど、ヴァン・キ・ラーゴは大きさも自在よ。広間でドロスともめた時、小さくしたこの子を耳の中に置いて音声を拾わせてたの。あなたの遅れが船のせいだと知ってたのはそのためよ」
「凄いね」
「褒めてもらっても意味ないわ。あなたがやるべきなのはこの子を褒めることじゃなく、勝つことよ。と、その前に」
アルの近くまで歩くとリアは腕を組んだ。
「この前の続きよ。アルは力をどこまでなら使えるの?」
「…相転儀、だよね?」
「もちろん」
大仰にリアは頷いた。
アルが説明を始めた。光の相転儀は主として防御のために使ってきたこと。大小にかかわらず刃や銛は生成できるが、人に対しては使わなかったこと。生活のために必要なレベル以上の使用法は試した経験がないことなどだった。
続いてなされた説明を聞いてリアは顔をしかめた。
「後は、夜に漁をする人のために目印にしたりとか」
なんて愚かな…。
心の中で嘆息した。