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魔王になるには?  作者: 水原慎
第二章 交叉
73/312

2-3 魔族の性質

長文なので分割してアップしてあります。

枝番のあるものは一つの文章です。

サブタイトルは便宜上付与しました。

 王選びへの参加はリアの夢だった。幼い時からの望みであり、全存在を賭けた願望だった。

 王選びは魔王の引退に伴って開かれる。あくまでも後継者を選ぶイベントに過ぎないが、全ての試練を突破した者は事実上魔王の座を約束される。

 魔王の引退に期限はなく、王位の譲渡の理由も様々だ。現魔王には子がなく、そもそも魔族は世襲を認めない。王の血を引く者が必ずしも優秀とは限らないからだ。能力のない者に統治されることを許容せず、多数の支持を集めた者に治められるのも好まない魔族が満足する制度は極度に少ない。試行錯誤の上に出来上がったのが王選びだった。

 胞奇子と調制士が集った求法院は、臨時の魔王後継者養成所とでも言うべき場所だった。森の試練を抜け胞奇子の称号を得た者は、すなわち魔王候補生ということになる。求法院の『法』の字はルールとか決まり事ではなく、成り立ちとか理といった意味合いを持つ。魔族にしてはひどくストイックな名称だった。

 魔族は、生を共にする異性種を見つけずに生涯を終えることは稀だ。男性種と女性種の二つの種の存在を天意と理解し、雌雄が一体となって人は完全となると考える。魔王に必ず調制士をあてがう仕組みにもそうした思想が色濃く反映されていた。

 猜疑心が強い魔族は容易にはパートナーを認めない。そうしないと生き残れないことを知っているからだ。反面で一度信じた相手には傾倒する傾向にあった。同胞さえ敵となることも珍しくない情け容赦のない世界で、信じ得る相手との巡り合いが稀有だと教えられなくても理解している。だからこそ一度心を許した相手には絶大な信頼を寄せ、大事にするのだ。異性種であろうと同性種の仲間であろうと、それは同じだった。上下の区別がないだけで、絆の深さは忠誠にも近い形を取る。

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