2-1 初訓練
長文なので分割してアップしてあります。
枝番のあるものは一つの文章です。
サブタイトルは便宜上付与しました。
式典の後、二人はリアの部屋に戻っていた。
道すがらリアはカザイラについて説明しておいた。過去の因縁を聞いたアルは神妙な顔をしていた。
宣始式の後の予定はなく、昼食には少し時間が早かった。時間が空いたこともあり、簡単に訓練を行なうことにしていた。レガートとカザイラが組んだとなれば、魔王の後継者争いの相手としては強力なライバルだった。限られた時間を有効に使うべきだとリアは判断していた。
提案にはアルも同意した。こういう時、面倒がったりしないのがアルのいいところだ。怠け者の男性種なら平気で不平を並べる。
「ねえ、もういい?」
「ごめん。もうちょっと」
リアが訓練室の外からドア越しに言うとアルが返事を寄こした。中からはかすかに着替えをする様子が伝わってくる。
…こんな調子だから、胞奇子と調制士ってくっつきやすいのよね、きっと。
リアは思った。
胞奇子の訓練室は調制士の部屋に付属していた。リアにあてがわれた部屋では応接間とドア一つ隔てて繋がっている。おそらくは他の部屋も同様の造りだ。リアは訓練室のドアに背をもたせかけてアルが着替え終わるのを待っていた。