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魔王になるには?  作者: 水原慎
第二章 交叉
66/312

1-17 カザイラ・ベーマ

長文なので分割してアップしてあります。

枝番のあるものは一つの文章です。

サブタイトルは便宜上付与しました。

 女の名はカザイラ・ベーマといった。リアにとっては因縁浅からぬ相手だった。

 カザイラは、リアの故郷ビシュテインの隣に位置するレーネグルトの令主の娘だった。同じ階級に属しているためにパーティーなどで顔を合わせる機会が多く、同い年ということもあって互いに意識したところがあった。加えて、カザイラの側が何かにつけて絡む傾向にあり、一度など親の出自をバカにされて殺し合いに発展しかけた。

 レガートと並ぶ長身は豊かな胸と腰を備えていた。魔族にしては長さを抑えた黒い髪が優雅な線を描いて天を指している。耳の前に下がる後れ毛さえも優雅だ。整った顔立ちの中でも一際目立つのは紅い唇と金色の瞳だった。妖しい輝きを放つ大きな瞳と視線を合わせると狂気を感じる。

 黒は魔族にとっては特別な色だ。多くの色の中でも最も主張の激しい色は最も高貴な色とされている。その色を生まれながらに身にまとったカザイラは自信に満ち溢れた女だった。肌と同じ黒髪も、うっとおしいからという理由で切り落とせる自信家だ。魔力への影響など何とも思っていなかったし、それだけの能力を有してもいた。だが、常に浮かべる薄い笑みは何を考えているのか分からず、向き合うと薄靄に囲まれたような気がしてリアは苦手だった。リアに視線を向けながら、カザイラの紅い唇は今も薄笑みを浮かべていた。

 よりにもよってこいつを選ぶなんて…。いや、言えた筋合いでは最早ないか…。

 リアは、カザイラの視線を受け止めつつ苦い気分を味わった。

 小さな頃から一緒にいることの多かったレガートは、当然カザイラとの経緯も知っている。知った上で調制士として選んだのだ。明らかにリアへの当てつけだった。それさえも、もはや魔王の座を巡って争う間柄だ。文句の言える筋合いではなかった。

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