1-16 レガートとパートナー
長文なので分割してアップしてあります。
枝番のあるものは一つの文章です。
サブタイトルは便宜上付与しました。
「誰?」
訊きながら振り返った。
冷笑を浮かべたレガートが立っていた。
「見限った人間など他人と同じか?」
鼻を鳴らしたレガートが目を細めた。酷薄さが滲み出た。
「…レガート」
リアはかすかに顔を歪め、見つめることしかできなかった。
レガートだと気づかなかったのは自分のミスだ。レガートが受け取ったように突き放したわけではない。気まずさはあったが、言い訳しようとは思わなかった。
幾分レガートの出現に驚いていたこともある。宣始式のために大広間に移動した時には気づかなかった。無意識の内に考えないようにしていたのかもしれない。だが、考えてみれば当たり前だ。リアを調制士として得られなかったぐらいでレガートが魔王への挑戦を諦めるわけがない。ドロスが調制士を見つけたように、レガートも刻限までパートナーを捜し求めたに違いなかった。
パートナーはすぐに知れた。レガートの影から抜け出るようにして女は現れた。黒い肌を持つ女性種はレガートの影が実体化したような錯覚をもたらした。
カザイラ・ベーマ!
リアは、レガートに連れ添う影を認めて衝撃を受けた。