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魔王になるには?  作者: 水原慎
第二章 交叉
62/312

1-13 魔王になるのはただ一人

長文なので分割してアップしてあります。

枝番のあるものは一つの文章です。

サブタイトルは便宜上付与しました。

 握手をし終えるとドロスが言った。

「これから茶でも飲んで一休みするつもりだが、一緒にどうだ? 相方の持ってきた菓子もある」

「お気持ちだけ頂戴するわ」

 硬い声で応じるリアにドロスが顔を向けた。

「あたしたちはあなたに敵対するつもりはない。でも、馴れ合うつもりもないわ」

「なるほど。魔王になるのはただ一人、か」 

「そうね」

 瞬間、視線をぶつけ、ドロスが微笑った。

「それもよかろう。人の行き方は様々だ。謝罪を受け入れてくれたことに感謝する」

 ドロスがアルを見た。

「アルカシャ・クルグ」

「は、はい?」

「雌雄は最終試練で決するとしよう。魔王になるのはおれだがな」

 アルに笑いかけた後、ドロスは表情を引き締めた。

「では、失礼する」

 体の向きを変えると控えていたファルネアに声をかけた。

「行くぞ」

「…はい」

 ファルネアはか細い声で返事をした。ドロスの後について歩き出す

。生来のものか、それとも疲れているのか、ひどく頼りない感じをリアは受けた。

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