表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
魔王になるには?  作者: 水原慎
第二章 交叉
61/312

1-12 アルとドロスの融和

長文なので分割してアップしてあります。

枝番のあるものは一つの文章です。

サブタイトルは便宜上付与しました。

 誇り高き魔族は滅多なことでは膝を屈しない。女性種に男性種が敬意を払う場合や公式な場所で立場が上の者に謙る場合など、特殊な機会に限られる。謝罪のためとはいえ、ドロスの取った行動は極めて異例だった。

 リアは眉根を寄せてドロスを見つめた。

 気に食わない人物ではあっても、ここまで礼を尽くされては無碍にもできない。赦免することにした。

「謝罪を受け入れよう、ドロス・ゴズン」

 厳かに言い、左の手の平をドロスに向けながら掲げた。こうした場合の魔族の正式な作法だった。

 魔族の社会では赦しを与えた事柄については、以降、双方が遺恨とせず持ち出さないのが通例だった。闘争の絶えない魔界ならではの知恵だった。

「ありがたい」

 ドロスが顔を上げて破顔した。跪いたままアルに対して体の向きを変える。

「アルカシャ殿も」

「いいよいいよ。ぼくはいいから」

 頭を下げようとするドロスに、アルが慌て気味に両手を振った。

「では、お許しいただけるか?」

「うん」

 アルが頷き、謝罪の儀式は終了した。ドロスが立ち上がる。

「あの時は調制士が決まらずに気が立っていた。すまなかった」

 ドロスが左手を差し出した。わずかに逡巡してアルが応じた。

 左手での握手は魔族の融和の証だった。諍いの後の仲直りや格別に仲の良い相手との挨拶など、特別な意味合いを含む作法だ。傍で眺めるリアも止めなかった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ