1-9 問いの答え
長文なので分割してアップしてあります。
枝番のあるものは一つの文章です。
サブタイトルは便宜上付与しました。
「行きましょ、アル」
椅子から腰を浮かせ、声をかけた。
アルが立ち上がる間もリアはガルカとゾグナに注意を払っていた。式の終わりが対決の開始の合図になりかねないと考えていたからだった。たまたま近くにいたせいで巻き添えになるのは避けたかった。
しかし、リアの予期に反して二組のペアは何の衝突も起こさなかった。わずかにガルカが視線を送り、ゾグナが冷笑で迎えただけだった。
意外。血飛沫どころか命が飛びかねないと思ったけど。
他のペアと同様、思い思いに散っていくガルカとルルカ、ゾグナとフェニアをリアは見送った。
リアは、彼らが一瞬散らした悪意と敵意の原因となった院長の言葉を思い出していた。移動しながらアルに問うてみた。
「ねえ、アル。院長の問いの答え、分かる?」
アルは首を横に振った。
「全然、分からないよ。この一年の間に鍛えながら考えることにする」
「そうね」
一つの世界に一人の王を戴く統治のあり方も、そのための王選びも魔族特有の制度だ。調制士であるリアもじっくりと考えてみなくてはならない問いだった。