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魔王になるには?  作者: 水原慎
第二章 交叉
57/312

1-8 決意と行動

長文なので分割してアップしてあります。

枝番のあるものは一つの文章です。

サブタイトルは便宜上付与しました。

「―」

 呟きを聞きとがめたガルカが振り返りながら急速に立ち上がった。肌と同じ黒の瞳が怒りで燃えている。

 が、その動きを途中でルルカが止めた。ガルカの腕に手を添え、静かに首を振る。険悪に調制士を見下ろしたガルカは、間を置いて荒々しく椅子に座った。大きな音がガルカの不満を表していた。

 やるわね。

 様子を伺っていたリアはルルカの手際に感心した。気の荒そうな胞奇子の突出をわずかばかりの動作で制御してみせた。王選びは始まったばかりなのに良く協調している。

 それとは違うけど…。

 リアは隣のペアに目をやった。

 ゾグナは冷笑を浮かべ、変わらぬ姿勢で座している。フェニアはガルカの反応に合わせて顔を上げたのみで、今は俯けていた。フェニアの動じない姿がリアはかえって不気味だった。余程パートナーの力に信頼を置いているのか、それとも自らの力への自負か。両方かもしれない。

覚えておくべき人間たちだとリアは思った。

 ガルカの挙動によって場に緊張の糸が走ったが、すぐに解けた。広間は平常に復し、腕組みをしたガルカ一人が不服そうな顔つきをしていた。

 院長が演壇を降りた。登った時と同じく静かに歩みを進め、席に戻った。

 宣始式は終わった。

 始まりを告げた男が立ち上がり、同様に終わりを宣言した。続いて主役たちに解散を促す。場がざわめきを取り戻し、椅子に座っていた胞奇子と調制士、参列していた求法院のスタッフらが銘銘に移動を始めた。式典の内容は実に簡素だった。

 言葉は無用、ということね。

 リアは思った。

 王選びには飾り立てた言葉も、虚しくも壮麗な儀式も必要なかった。問われているのは決意と行動だった。

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