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1-3 やるしかない
長文なので分割してアップしてあります。
枝番のあるものは一つの文章です。
サブタイトルは便宜上付与しました。
「それより、どお? 眠気は取れた?」
「…ん。まだ、ちょっと」
アルが小さな欠伸をした。あてがわれた部屋が広すぎて落ち着かなかったのだという。リアは微笑った。
「まあ、いいわ。始まりを告げる大事な行事なんだから眠らないようにね」
アルが頷いた。取りあえず眠りこけなければそれでいい。
昨日はアルの闘争心の欠如に頭を抱えたリアであったが、今は気持ちを立て直していた。いつまでも気に病んでいても仕方がない。たとえどんな相手であっても、自ら選んだ胞奇子を魔王にすることがリアの役目であり、望みであった。血の一年はまだ始まったばかりだ。
やるしかない。
そう心に思い定めていた。