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3-19 闘いを否定する者
長文なので分割してアップしてあります。
枝番のあるものは一つの文章です。
サブタイトルは便宜上付与しました。
「さっきの続きだけど、光の球を打ち出したりできる?」
アルは首を振った。
「できないの?」
「…分からない。試したことがないんだ」
「試したことがない?」
リアは顔を歪めた。声の抑揚も上がった。アルの返答が理解できなかったからだ。魔族にとって相転儀は命に次ぐ重大事だ。たとえ訓練を受けない平民であろうと可能性を追求しない者などリアは見たことがなかった。
「…その、…どうして?」
問い返す言葉もありきたりなものになった。
「だって、必要ないじゃないか」
ムキになってリアは反論した。
「そんなことないわよ。闘うことを考えれば有利じゃない」
「…闘うなら、そうかもしれないね」
リアは眉根を寄せた。アルのしゃべり方が闘うことを否定しているように聞こえたからだった。