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3-15 最低なのはラッキー
長文なので分割してアップしてあります。
枝番のあるものは一つの文章です。
サブタイトルは便宜上付与しました。
「どうしても最低だと思いたいなら思ってもいいわ。ある意味ラッキーだもの」
「え?」
「だって、これ以上、どうやったって悪くなりようがないじゃない」
笑って言うリアを見て、アルも気弱に笑った。
「ホントだ」
「ね? 後は上がるだけよ。そして、あたしはあなたの力を引き上げるためにここにいる。分かるわよね?」
アルは神妙な顔で頷いた。
「でも、あたし一人がどんなに意気込んでも、あなたに上を目指すつもりがなければ決して上がることはないの。これも分かる?」
もう一度アルが頷いた。リアは顔をほころばせた。
「成り行きはどうあれ、あたしと組んだ以上は頂点まで上がってもらうわよ。昇りがいがあるでしょ?」
今度は、アルは困ったように笑った。
「頑張るよ」
リアは指を立てて横に振った。
「頑張るだけじゃ駄目よ。必ず結果を出してもらうから、そのつもりでいなさい」