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3-13 珍しいタイプ
長文なので分割してアップしてあります。
枝番のあるものは一つの文章です。
サブタイトルは便宜上付与しました。
「とりあえず言っておくことはそれだけ。闘争に絶対的な力は必須だけど、力だけあっても駄目なのよ。まあ、ドロスに頭がないとは言わないけど、メンタルな面ではさっき言ったように穴だらけに見えるわね、あたしには」
リアが説明し終えてもアルは浮かない顔をしていた。
「まだ、納得しない?」
「そういうわけじゃないけど」
アルは慌てたように両の手を広げて振った。
「じゃあ、何?」
「えっと…」
丸めた手を口元に当て、アルは考え込む仕草をした。
「…その、ぼくは森の試練を抜けるのも一番遅かったし、胞奇子の中では最低のランクなんじゃないのかなって、そう思えてしょうがないんだ」
「あなたが遅れたのは船のせいじゃない」
「! どうして知ってるの?」
驚くアルにリアは得意げに笑った。
「それも後で説明するわ。ほら、やっぱり違うでしょ?」
「…うん」
視線を外して返事をするアルを見ながらリアは思った。
…魔族としては珍しいタイプね。自信が極端に少ない、って感じがするわ。