3-12 必ず必要なもの
長文なので分割してアップしてあります。
枝番のあるものは一つの文章です。
サブタイトルは便宜上付与しました。
…そう。あたしはそのことに意識の奥底で気づいていた…。だから、アルの力を目撃した瞬間に思いが弾けたんだ。
リアがしゃべるのをやめてもアルは静かに目を向けていた。少し気恥ずかしかったので、思い至った事柄には触れずに先に進むことにした。
「それに、力には使い方、やり方というものが不可欠なの。仮に、あなたの相転儀が山の形を変えるほどの威力があったとしましょうか?」
一つ、アルが頷いた。
「で、その相転儀を目標物に向かって撃ち出せるとするわね。これは後で確認するから」
アルがまた一つ頷き、リアはさらに話を続けた。
「だけど、絶大な威力を持つ相転儀であっても何もない場所に撃っても意味がない。だから、目標に向かって撃つという当たり前のことを実行しないといけないし、どうせ撃つなら、より効果的に当てることを考えないといけない。戦争なら戦略や戦術と呼ばれる分野ね。そして、これは個対個の闘いにも当てはまる」
そこまでしゃべり、リアは人差し指を使って自らの頭を指し示した。
「今言ったことを実行するにはここを使うの。戦闘には程度の多寡はあっても必ずクレバーな要素が必要よ。いい? 必ず、よ」
リアは『必ず』という言葉を強調して話を終えると微笑んでみせた。