3-11 死角
長文なので分割してアップしてあります。
枝番のあるものは一つの文章です。
サブタイトルは便宜上付与しました。
「よりにもよって、あんなのとあたしを結びつけないでよ」
「ご、ごめん。でも、ドロスは体も大きくて強そうだし…」
言い訳をするアルを見つめながら、リアはため息をついた。
「あなたは強さというものを誤解してるわ。確かにドロスは体格に恵まれているし、パワーもある。今、ここにいる魔族の中でもトップかもね。だけど、それは肉体的なパワーを破壊力に変換する能力が優れているだけで、俊敏さのような能力は欠けてる」
リアは言葉を切り、アルが真摯に耳を傾ける様子を確かめた。
「何よりもいけないのが、傲慢さよ。やつには死角が多すぎる」
「死角?」
「そうよ。人の思考には限界があるの。これはどれほど頭脳が優秀で、分析や情報収集に長けた者にも当てはまる。どんな人間であろうと思いの及ばない領域というものがあるのよ。そして、傲慢さはその領域を広げることはあっても狭めることはない。傲慢は己を省みたり、情勢の変化を見定める賢明さを遠ざける。…これはレガートにも言えることだけどね」
リアはわずかに沈鬱な気分を味わった。