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3-10 あたしの言葉が信じられない?
長文なので分割してアップしてあります。
枝番のあるものは一つの文章です。
サブタイトルは便宜上付与しました。
リアは一つ息を吐いた。手早く残りの物を拾い集めると袋に入れ、口紐を縛って長椅子の上に置いた。
「アル」
名を呼ぶとアルが顔を上げた。
「ここに座って」
リアはアルの手を取ると長椅子へと誘った。腰掛けたアルの横に自らも身を落ち着けるとアルの手を解放した。
「調制士であるあたしの言葉が信じられない?」
「そうじゃない。だけど…」
「だけど…、何?」
リアが問うとアルは一度視線を外した。しばしの間を置き、顔を上げた。
「リアはどうしてぼくをパートナーに選んだの? …廊下を追いかけてきた、レガート? 彼とか、たとえばドロスとか。他にいくらでも候補になる人がいそうな気がする」
リアは顔をしかめた。ドロスの名を出されたのが不快だった。