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魔王になるには?  作者: 水原慎
第一章 邂逅
36/312

3-9 お金や物を持ってるからじゃない

長文なので分割してアップしてあります。

枝番のあるものは一つの文章です。

サブタイトルは便宜上付与しました。

 あたしが何とかしてやらないと。

 義務感が形を成したような言葉が意識に昇り、リアは慌てて首を振った。

 違う違う。今のは同情とかそういうんじゃなくて。あたしがここに来たのは魔王の調制士になるためなんだから。アルには魔王になってもらわないと困るのよ。

 目をやると、アルがうなだれた姿で立っていた。

 ―いけない。

 激情が過ぎるとリアは冷静さを取り戻した。冷静になるのと同時に申し訳なさに覆われ、謝罪の言葉を口にした。

「ごめんなさい」

 体をしゃがませて床に落ちた物を拾い集めた。

 調制士のあたしがアルを動揺させてどうする。

 後悔の念が湧き、言い訳がましく弁解した。

「…これはあなたを傷つけたくてやったわけじゃないの。あなたのことを知りたかっただけ。…だけど、やり過ぎたわ」

「ううん。ぼくこそ、こめんなさい」

 アルの細い声を耳にし、リアは拾うのをやめた。

「…何を謝るの?」

 立ち上がるとアルを見た。胸に沈んだような感覚があった。謝らねばならないのは自分であってアルではない。

 言葉を待っているとアルが静かに言った。

「…ぼく、何も持ってない」

 視線はリアの手に握られた袋に注がれている。

「…背も低いし、強そうでもないし。こんなぼくと組んでもしょうがないよね」

 思ってもいなかった言葉を聞いて、リアは笑った。あまりにも筋道が外れているので苦笑気味になった。

「アル、あたしがあなたを選んだのはお金や物を持ってるからじゃない。それに外見と事実は違うのよ」

「…でも」

 アルは視線を落としたまま呟いた。

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