3-6 魔王になるか、さもなくば死ね
長文なので分割してアップしてあります。
枝番のあるものは一つの文章です。
サブタイトルは便宜上付与しました。
「村預かりは何て?」
「…その、ぼくは独り者だし、他に頼れる人間もいなかったから、一人でやっていくのは無理なんじゃないかって…」
リアは頷いて先を促した。
「…それで、村の中で割り当てられている場所を他の人に譲って、代わりにお金をもらって王選びに参加するための支度金にすればいいと…」
アルが言葉を切った。リアは強張った表情のままで訊いた。
「断ろうとは思わなかったの?」
「…無理なんだ。断ってもいいけど、村で浮き上がるのは分かってたし、仕事で得たものは他の人の協力がないとさばけないから。それだと村に居続けても意味がない」
…半ば強制、か…。
話を聞き終えたリアは沈鬱な気持ちになった。アルは目を落とした姿で座っている。
村預かりからの勧めがどのような形で行なわれたのかはアルの話からは分からなかったし、確認する気もなかった。どのような形を取ろうとアルが村から追われたことに変わりはなかった。
島の人間はアルに宣告したのだ。
魔王になるか、さもなくば死ね、
と。
いかにも魔族らしい残酷な仕打ちだった。
…理屈は理解できる。でも、気に入らないわ。
リアは村の住人のやり口に反発していた。