4-22 位置の把握
長文なので分割してアップしてあります。
枝番のあるものは一つの文章です。
サブタイトルは便宜上付与しました。
「どうする? これだけ派手にロスしたら、最下位は確定だけど」
「やるだけやろうよ。最終試練は終わってないのに、諦めるのはヤだな」
「そうね」
同意したリアは気づきを口にした。
「そういえば、相転儀使っちゃったけど、いいのかしら?」
「問題ないと思うよ。洞窟の中では明かりにしただけだし、移動は水の流れに乗っただけだからね。歩くことにこだわるなら、水に落ちた時点でぼくらは失格だね」
リアは頷き、周囲を見渡した。視界は一面の野原で、目印になりそうなものは何もない。
「…まずは、位置の把握からか」
言って、リアは背後を振り返った。
出てきた水路が目に入る。水路は小山のような岩場の麓にあった。目を左に転じると水路と同じように口を開けた洞窟が見えた。こちらからは水は出ていない。
「あれ? これって…」
怪訝な顔をしたリアはアルに声をかけた。
「地図、出してみて」
言われたアルは荷物を下ろし、地図を取り出すとリアに渡した。地図を見たリアは眉間の皺を深くした。
「どうしたの?」
「うーん。まあ、いいわ。行ってみましょ」
「行くって、どこへ?」
「こっち」
リアは野原の先を指差すと間を置かずに歩き出した。アルが慌てて追いかけた。
二人は野原を歩き続けた。野原は広く、どこまでも続いた。遠い視界の先に森の姿が見える。求法院を取り囲む奥深い森の一部だと思われた。




