4-13 全部、あたしのせい
長文なので分割してアップしてあります。
枝番のあるものは一つの文章です。
サブタイトルは便宜上付与しました。
深く息を吐き、リアは容器の破片をザックの中から取り除き始めた。アルが膝をついた。
「…やっと、ぼくにも分かってきたよ。最終試練は、リアのことも試してるんだね」
「その通りだとあたしも思うわ」
作業を続けながらリアは言った。
「ごめんなさい」
謝罪の言葉は苦かった。
「水が割れたことを謝ってるの?」
「それもあるけど…。求法院の意図を見抜けなかった時点で半分負けてるわ。全部、あたしのせい。…だから、ごめんなさい」
リアはうなだれて手を止めた。
「それは違うよ、リア」
「?」
リアはアルの言葉に顔を上げた。
「求法院の意図を見抜く必要ならぼくにもあった。魔王になるのはぼくだから、自分の力を磨けばいいんだと思い込んでた。最終試練がこんな形になるなんて思ってもみなかったよ。だから、リアのせいだけじゃないよ」
アルの表情は明るかった。
不思議な感覚をリアは味わっていた。身を浸していた情けない思いが溶けるように消えていく。まるでアルの言葉が光になり、闇を払っていくかのようだった。