4-4 窺い知れない最終試練
長文なので分割してアップしてあります。
枝番のあるものは一つの文章です。
サブタイトルは便宜上付与しました。
まあ、いいわ。管理者たちの思惑がどうあろうとあたしたちは生き残った。大事なのは結果であって、それが今、この状況だ。
結論を下したリアは、ギーツとナヤカを思い出して少し心を沈ませた。
…二人なら、生き残れてもおかしくなかったはずなのに。
視線の先にある元ナヤカの部屋のドアを見つめた。ナヤカの部屋は一階の端、中庭に面した側にあった。使用者は、もういない。
ナヤカからは少し前にも便りがあった。ギーツの症状は膠着しており、効果的な方法を考えついたので試してみるとあった。
リアは、沈み込んだ思いを振り払うように静かに首を振った。
ここまで来て足を止めてはいけない。今はアルを魔王にすることに集中しなきゃ。まだ、王選びは終わっていないんだから。
王選びは、これからが本番だった。
リアはドアを開けて宿泊棟の外へ出ると、渡り廊下から中庭へと進んだ。朝食のためにアルと食堂で待ち合わせていた。
問題は、何をやらされるのかが全く分からないってことなのよね…。
最終試練を明日に控えた今も、リアたちには内容が知らされていなかった。
リア自身意外だったのは、最終試練に関する情報が全く入らないことだった。通常、どんな秘密も完璧な統制などできはしない。おぼろげな輪郭や断片ぐらいは洩れ出るものなのだ。なのに、それすら伝わってこない。完璧過ぎて奇妙だった。