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魔王になるには?  作者: 水原慎
第四章 決着
287/312

4-2 あと二組いなくなれば

長文なので分割してアップしてあります。

枝番のあるものは一つの文章です。

サブタイトルは便宜上付与しました。

 あと二組いなくなれば、自ずと魔王への道が開かれる。

 この思いは、リアの中で幾度となく浮かんだ。その度に重く芳しい淀みが胸の中で渦を巻き、危うい誘惑に駆られた。他の二組も同じ感情を抱いていてもおかしくなかった。生き残った三つのペアは極めて微妙な均衡を保つ天秤の上に乗っていた。

 一度だけ、リアはアルに尋ねてみたことがある。他の二組をどう思うか、という問いへの答えは、『凄いよね』の一言だった。アルは、魔王への熱意を燃やしながらも他者を排除しようとは考えていなかった。ならば、自制すべきはリアの側だった。

 あたしが原因でアルの足を引っ張るわけにはいかない。

 危うい思いが頭をよぎる度、役目への専念をリアは誓った。

 …結局、ドロスの誘いに乗らなかった人間が残ったわけね。

 リアは結果を反芻した。

 ドロスの陣営につかなかった参加者は少なく、ガルカやゾグナにも接触はあったはずだ。他の者の傘下に入ることを良しとせず、ルール無視で他の参加者を傷つける選択をしなかったペアが結果として生き残っていた。リアたちの他は宣始式で危うさを見せた二組のペアが残ったわけで、不思議と言えば不思議だった。

 他のペアに闘争を挑まない理由はさまざまだろう。アルとリアの場合で言えば、アルは情だったし、リアの場合は論理だった。王となる者が確定すれば、求法院に集った者は統治すべき民となる。害意をもって虐げるなどリアにとってはあり得ない選択だった。

 三組の共通点は、自己の練磨に徹したことだった。リアたちも昨日よりも今日、今日よりも明日と力を磨くことだけを考えてきた。継続した根気強い作業が現在のリアたちを作っていた。


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