3-10 戦闘の終結
長文なので分割してアップしてあります。
枝番のあるものは一つの文章です。
サブタイトルは便宜上付与しました。
触角が地面で生き物のようにのたうった。リアは距離を取るべく身を翻した。しなった触角の二撃目は、リアを横から襲った、リアは手を触れずに二体目のヴァン・キ・ラーゴを生成すると盾として使った。太みのある大きなヴァン・キ・ラーゴだった。伸びた触角はヴァン・キ・ラーゴに絡みつき、腕や胴体に食い込んで動きを止めた。
次の攻撃をリアは許さなかった。一体目のヴァン・キ・ラーゴに指令を送ると白い穿刺体を掴み倒した。ヴァン・キ・ラーゴは白い穿刺体を組み敷き、触角を根元で切断すると頭部を破壊した。続いて左腕を切り落とし、胸に剣を突き入れて両断した。白い穿刺体は沈黙した。
白い穿刺体が戦闘不能に陥るとヴァン・キ・ラーゴは生成者を次の標的に定めた。猛スピードでカザイラに迫った。
カザイラは、最後の瞬間も薄い笑いを浮かべていた。
ヴァン・キ・ラーゴの剣が切り伏せ、カザイラの体が地に落ちた。倒れたカザイラに向かってリアは緩やかに近づいた。
傍らまで行くと、横たわったカザイラが視線を向けた。閉じた口の端から血が細く糸を引いた。右肩から左脇腹へと大きな傷ができている。制服の左胸部には心臓を守るプレートが仕込まれており、それを避けた斬り方だった。血が染みて緋色の縁取りを赤黒く染め、濃い生地の色をさらに変えている。ヴァン・キ・ラーゴは横で控えていた。
カザイラはヴァン・キ・ラーゴの剣を避けようとしなかった。そのためにかえってリアの攻撃は鈍っていた。即死には至らず、傷は深手に留まっていた。