3-6 残虐者の顔
長文なので分割してアップしてあります。
枝番のあるものは一つの文章です。
サブタイトルは便宜上付与しました。
「それで? まさか、本当に話がしたかったわけじゃないでしょ?」
「わたしと闘って。用件はそれだけ」
表情を変えないカザイラが口を閉ざし、リアもまた薄く笑った。喜悦の笑みだった。
「いいわ」
一言、言った。
カザイラを故意に見逃した文礼員を責める気持ちは最早なかった。勝って、実力を証明する。考えたことはそれだけだった。
傍らのアルを見た。
「あなたはついて来ないで」
リアが言うと、カザイラの意外な言葉があった。
「いいわよ、別に」
眉をひそめてリアはカザイラを見た。わざわざ危険を増やす言葉だった。
「彼なら決して勝負の邪魔をしたりしない。だけど―」
カザイラがアルに視線を振った。
「―あなたの調制士の最後を見ることになるかもしれないけれど。それでも来る?」
アルが頷いた。
「たとえそうなっても、この目で見届ける。それに、リアは負けない」
真剣なアルの表情を見たカザイラは笑みを深くした。
「信じているのね―」
カザイラの形相が変わった。
「―その希望、わたしが砕いてあげる」
新たな目的を見つけた残虐者の顔だった。