3-3 リンクの切断
長文なので分割してアップしてあります。
枝番のあるものは一つの文章です。
サブタイトルは便宜上付与しました。
「どうしたの、リア? 操作が乱れたよ」
顔を向けたアルの指摘にリアは軽くうろたえた。
「ご、ごめんなさい」
間違いなく精神の乱れの影響だった。集中力が途切れ、ヴァン・キ・ラーゴがリアのコントロールから外れてしまったのだ。意図しないリンクの切断だった。
ヴァン・キ・ラーゴはリアの操作が途切れても勝手に動く。だが、操作状態から切り替わる際にわずかな空白が生まれる。アルは、その隙を突いたのだ。指摘は空白の瞬間を指していた。
しかし、空白の時間はわずかであり、闘技に練達した者でも見極めるのが難しい。それに、見極めたとしても攻撃できなければ意味がない。わずかな隙を見つけ、攻撃を実行してみせたアルの戦闘技術は高度に研ぎ澄まされてきていると言ってよかった。出合った頃に比べて目を見張るほどの進歩だった。実戦も経験に加え、アルは大きな才能を育てていた。
「一息入れようか」
「え?」
「昨日の今日だし、リアも疲れてるよね」
穏やかな笑顔をアルがした。
「…そんなことは、ない…けど」
少しの間、逡巡してからリアは言った。
「そうしましょうか」
ぎこちなく笑った。心が落ち着くまで時間がかかりそうだった。正直、アルの申し出はありがたかった。
アルが頷き、リアは戦闘フィールドを解除した。
ドアの前に置いてある台からタオルを取り、アルは付属のシャワー室に消えた。




