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魔王になるには?  作者: 水原慎
第四章 決着
275/312

3-2 あたしは、アルが好き

長文なので分割してアップしてあります。

枝番のあるものは一つの文章です。

サブタイトルは便宜上付与しました。

 アルとヴァン・キ・ラーゴの戦闘が続いていた。上から振り下ろされた剣を受け止め、続いて放たれた横からの剣をアルが体を逃しつつ受け流した。

 リアはアルの姿を目で追った。

 あたしは、アルが好き。

 昨日の闘いの後で気づいた想いだ。静かで、深く心に根づいた気持ちをリアはためらいなく受け止めた。

 …でも、今はダメだ。

 厳正な思いも同時にあった。

 アルとあたしは、魔王の後継候補と調制士。この想いは目的を遂げるための邪魔になる。

 王選びが終わるまでは秘める決意だった。

 …試練を乗り越えることができた、その時は。

 リアの胸には、叶えるべき夢とは別の決意が生まれていた。

 …たとえ、アルが魔王になれなくても―

 リアは、自分が思い浮かべた言葉に口角を曲げた。

 違うってば。あたしとアルは一緒に魔王になるんだから。もしもなんてないのよっ!

 心に乱れが生じた瞬間、鈍く硬い音が訓練室に響いた。

 体を捩っていたリアは顔を上げた。

 一刀を振り上げたヴァン・キ・ラーゴの腹部に、アルの光剣が突き刺さっていた。ヴァン・キ・ラーゴが金属球に姿を戻して床に落ち、澄んだ音を立てた。

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