3-2 あたしは、アルが好き
長文なので分割してアップしてあります。
枝番のあるものは一つの文章です。
サブタイトルは便宜上付与しました。
アルとヴァン・キ・ラーゴの戦闘が続いていた。上から振り下ろされた剣を受け止め、続いて放たれた横からの剣をアルが体を逃しつつ受け流した。
リアはアルの姿を目で追った。
あたしは、アルが好き。
昨日の闘いの後で気づいた想いだ。静かで、深く心に根づいた気持ちをリアはためらいなく受け止めた。
…でも、今はダメだ。
厳正な思いも同時にあった。
アルとあたしは、魔王の後継候補と調制士。この想いは目的を遂げるための邪魔になる。
王選びが終わるまでは秘める決意だった。
…試練を乗り越えることができた、その時は。
リアの胸には、叶えるべき夢とは別の決意が生まれていた。
…たとえ、アルが魔王になれなくても―
リアは、自分が思い浮かべた言葉に口角を曲げた。
違うってば。あたしとアルは一緒に魔王になるんだから。もしもなんてないのよっ!
心に乱れが生じた瞬間、鈍く硬い音が訓練室に響いた。
体を捩っていたリアは顔を上げた。
一刀を振り上げたヴァン・キ・ラーゴの腹部に、アルの光剣が突き刺さっていた。ヴァン・キ・ラーゴが金属球に姿を戻して床に落ち、澄んだ音を立てた。