3-1 決着の後
長文なので分割してアップしてあります。
枝番のあるものは一つの文章です。
サブタイトルは便宜上付与しました。
リアは、アルとヴァン・キ・ラーゴの模擬戦を眺めていた。決闘が終わった翌日の午前で、訓練中だった。
ヴァン・キ・ラーゴは双剣を手にアルと闘っていた。双剣はレガートの武器を見たアルの希望だ。
二者の戦闘を眺めながら、リアは昨日の出来事を思い返していた。
リアは決闘の終結を見るなり駆け出していた。闘技場の観客席と闘技者の移動通路は繋がっておらず、一度外に出て再度入り直す必要があった。駆けている間、リアの胸では想いが募り続けた。
裏側にある闘技者用の入口を抜け、通路を駆け抜けた時、アルは誰かと話していた。後で聞いた話では求法院のスタッフだ。
名を呼んで振り返ったアルを見た途端、リアは抱きついて泣いた。周囲の目も構わず泣き続けた。どう考えても、死地に赴いて生還した恋人を出迎えた女の姿だった。
リアは、片方の手で口を押さえて赤面した。
…大体、闘技場の造りも悪いのよ。長い間走らされたから、胸が詰まっちゃって…。
他人のせいにした。
レガートの言葉は、落ち着いてからアルから聞いた。リアは平静な思いで受け取った。元々リアが欲したものではない。アルが無事に戻ってくれば、それでよかった。