表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
魔王になるには?  作者: 水原慎
第四章 決着
273/312

2-11 受け取りしもの

長文なので分割してアップしてあります。

枝番のあるものは一つの文章です。

サブタイトルは便宜上付与しました。

 音と破壊の影響が去ると、地上には折り重なったアルとレガートの姿があった。

 レガートは背中から地面に倒れこんでいた。体に損傷はなかった。代わりに六枚の翼が大きく広がり、地面を抉っていた。翼は、全てが大きくひび割れていた。レガートは翼を使って衝撃を吸収していた。喉元にはアルの光剣が突きつけられており、顔の魔相も消えていた。

「殺せ」

 レガートは静かな表情をしていた。アルは険しい顔つきを崩さなかった。

「殺しはしない。…おまえを殺すとリアが悲しむ」

 レガートの表情がわずかに揺らいだ。

「ぼくはおまえを殺したかったわけじゃない。謝らせたかっただけだ」

 無言の時が数刻あった。

「謝る気があるなら、ここでぼくが謝罪の言葉を預かろう。どうしても謝る気がないなら、死なない程度に体を削り取ってやってもいい。そのぐらいなら、ぼくにもできる。おまえは、たった一つの言葉を惜しんだために一生をベッドの上で暮らすんだ。言葉を惜しんだことを後悔しながら」

 レガートの表情が歪みを増した。目を閉じ、葛藤を示すように歪んだ表情が動いた。目を開けた時には、表情は再び静かになっていた。

「…すまない」

 小さくとも明瞭な声を受け取ったアルは、光剣を突きつけたまま頷いた。

「スカーフをもらおうか」

 アルの言葉に従い、レガートは光球と体との間に挟まれた剣から手を放し、スカーフを取ると差し出した。

 スカーフを受け取ったアルは、そこで初めて表情を緩めた。光剣をレガートから放して立ち上がるとスカーフを持った左手を高く掲げた。

 歓声が、巨大な闘技場を揺るがした。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ