2-10 空中戦
長文なので分割してアップしてあります。
枝番のあるものは一つの文章です。
サブタイトルは便宜上付与しました。
「だが、贈り物に注がれるはずの力がまさか自分に向けられるとは想像もしなかった。だから思ったよ。おまえは絶対生かしておくわけにはいかない、ってな」
「だったら、ぼくだけを狙えばよかったんだ」
アルが光の剣を作り出した。
「そうはいかないな。言っただろうが。おまえをどうしても動かす必要があったんだよ。そのためなら、何でもやるさ」
「…そうか」
アルの一言を最後に二人は黙った。位置を変えずに睨み合いが続いた。
「どうした? 飛び込んでこいよ。切り刻んでやる」
「―」
レガートが言い、応えるようにアルが動いた。真っ直ぐにレガートに向かって光球を走らせた。
レガートは動かず、そのまま迎え撃つかに見えた。アルが剣を交えようとした瞬間、レガートは空に飛んだ。
「阿呆がっ! 今度こそ終わらせてやる!」
空中でレガートが残忍な笑みを浮かべた。翼が形を変えた。アルが叫んだ。
「空を飛べるのがおまえだけだなんて思うなっ!」
光球を纏ったまま、地表から一直線にレガートへと飛んだ。半年の間にアルが磨きをかけた技の一つだった。
「何っ!?」
レガートの翼は形を変える途中だった。猛スピードでのアタックを正面から受け、レガートは空高く押し上げられた。
主導権を失ったレガートにアルは剣を振るってさらに攻撃を加えた。レガートは翼の一枚を使って防御した。アルは接触した剣を利用して上から圧力を加え、体勢を入れ替えると急降下した。二人は絡まり合ったまま地上を目指し、レガートは背中から激突した。大きな激突音と破壊音がした。砕けた闘技場の破片が飛散し、粉塵が舞い上がった。