2-8 悔いるリア
長文なので分割してアップしてあります。
枝番のあるものは一つの文章です。
サブタイトルは便宜上付与しました。
そんなっ!
リアは愕然として立ち上がっていた。アルの防御が崩された場面を目の当たりにしたせいだった。
レガートの相転儀の威力をリアは良く知っていた。しかし、これほどの攻撃を連続して使うところを見た経験はなかった。
落差の理由に思い当たった。二人の道が分かれて半年もの時間が経っている。レガートもまた、その間能力を磨いていたのだ。
…レガートの能力を伝えておくべきだった。
リアは、悔いていた。
相手の能力を事前に知る機会などそうそうありはしない。アルなら対応できる。光の防御があれば、勝てる。そう思って自分をごまかしたのではなかったか。
レガートという見知った人間が相手であるために、能力を教えることをためらった。自分の甘さがアルを窮地に追い込んだのだ。
レガートの攻撃が、光球の表面にできた裂け目に突き刺さろうとした。
「―!」
恐れで萎縮したリアは目を閉じた。
次に気づいたのは、周囲で起こった感嘆の声の合唱だった。
「?」
恐る恐る目を開けたリアが見たのは、アルが槍の攻撃を防いだ場面だった。
アルは裂け目のできた光球の内側に、さらにもう一つの光球を展開していた。槍の攻撃は外側の光球の中に侵入し、内側の光球の表面で止まっていた。