2-7 はぜた光球
長文なので分割してアップしてあります。
枝番のあるものは一つの文章です。
サブタイトルは便宜上付与しました。
白い光と黒い槍の攻防が続き、爆裂音と刺突音、両者の攻撃による破壊音の多重奏の中でレガートの攻撃がアルを捉えた。飛来する複数の槍に捕まった光球が闘技場の上を転がった。続いて放たれた多数の槍が異なる方向から地面に刺さり、絡まり合って光球を地面に固定した。
地上に降りたレガートが近づいた。
「カザイラの言った通りだな」
アルが手を突き出し、槍の隙間から光弾を打ち出した。翼が盾となって防いだ。
「無駄だ」
レガートがさらに近づいた。
「おまえの光球は高速で移動している時は横からの衝撃に弱い。そして、カザイラの仮説はこうだ―」
下側の翼が二枚、大きな槍を形作ってアルに迫った。下からすくい上げるようにして地面に刺さった槍ごと光球を吹き飛ばし、空中高く飛ばした。
「―決まった方向からの衝撃は、光が分散させて外に逃している。だが、一度に強い衝撃を全方位から受けると力を吸収しきれず―」
空中に浮かんだアルは離脱しようとした。その前にレガートの攻撃が決まっていた。鋭く尖った槍が、あるものは真っ直ぐに、あるものは鉤状に折れ曲がって、光球を包囲するように急襲していた。
光球の上部が鎌様にはぜた。
「―終わりだ」
レガートの放った一本の槍が、隙間目がけて奔った。