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1-20 アルの激昂
長文なので分割してアップしてあります。
枝番のあるものは一つの文章です。
サブタイトルは便宜上付与しました。
「そうやって荒くれていれば、魔王になれるとでも思っているの?」
「何だと?」
剣呑に目を細め、レガートが立ち上がった。
「いい加減にしろっ!」
アルがリアとレガートの間に割って入った。
「さっきから聞いてればっ! 父親の死を知ってるなら、そっとしておけっ!」
「アル!?」
いつにないアルの剣幕にリアは驚いた。レガートとのやり取りも忘れて戸惑いの表情を浮かべた。
レガートが矛先をアルに変えた。
「貴様も大層だな。たかが平民が、おれに指図するのか?」
「やめなさい、レガート・ゼイル! ここを戦場にする気!?」
リアはレガートを制止した。同時にアルの肩に手を置いて諌めた。
「アルも落ち着いて。あたしは気にしてないから。ね? 他の場所へ行きましょ?」
顔を寄せ、穏やかな声で言うとアルが軟化した。レガートと睨み合っていた視線を外すと体の向きを変えた。リアは何も言わず、丸屋根の建物から離れようとした。