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魔王になるには?  作者: 水原慎
第四章 決着
257/312

1-19 荒れるレガート

長文なので分割してアップしてあります。

枝番のあるものは一つの文章です。

サブタイトルは便宜上付与しました。

「たとえそうでも同じよ。貴族とそれ以外の民は、単純に支配と服従の関係にあるわけじゃないわ」

「そうかい。ご立派な講義をありがとう、とでも言っておくか。だが、いいのかな?」

「?」

 レガートが含みのある言い方をした。

「おまえの分令地はカザイラの父親が代行して治めるそうだ。後ろ盾のなくなった人間は、今のうちに取り入っておいた方がいいんじゃないか?」

 眉をひそめた表情でリアはカザイラを見た。カザイラは、いつもの薄い笑いで応じた。

 これが狙いか。

 冷めた気分でリアは思った。くだらない。ただ、嫌味を言うためだけに待ち伏せとは。ご苦労なことだ。

 笑みを浮かべるとカザイラに言った。

「よかったじゃない」

「?」

 今度はカザイラが怪訝になった。

「魔王の調制士になれなくても、故郷に戻れば仕事があるわ」

 痛烈な皮肉だった。

 カザイラの顔から笑みが消えた。不穏な空気が立ち上った。

「バカなことをっ! おれが魔王になり損ねるわけがないだろうがっ!」

 レガートが声を高め、足でテーブルを蹴った。置かれていたティーカップがうるさい音を立てた。

 冷たい視線をリアはレガートに戻した。

 気品がなくなった、とリアは思っていた。以前のレガートはこんな乱暴な振る舞いはしなかった。椅子を傾けて座るような不行儀もしない。言葉遣いも変わっていた。一緒にいた頃は自分を指して『おれ』などとは言わなかった。

 髪が伸び、どことなく崩れた印象のあるレガートを静かに見下ろした。

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