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魔王になるには?  作者: 水原慎
第四章 決着
254/312

1-16 悲しみを受け止めて、なお前に進め

長文なので分割してアップしてあります。

枝番のあるものは一つの文章です。

サブタイトルは便宜上付与しました。

 中からアルの声がした。リアは中に入ると、いつも通りに金属球を拾い上げ、ヴァン・キ・ラーゴを作り出した。ヴァン・キ・ラーゴとアルの模擬戦が始まった。

 模擬戦を眺めながら、リアは母親からの手紙のことを思っていた。

 母親は父親の死を知らせずにおくこともできた。尊敬や愛情を常日頃から口にしていた者を失えば、娘であるリアが動揺するのも承知していたはずだ。それでもなお、母親は知らせる方を選んだ。

 慮れば、王選びが終わった時、知らずにいたことを後悔すると考えたのだろう。悲しみを受け止めて、なお前に進め、と母親は言っていた。

 ならば、やるべきは一つだ。

 今まで通りの王選びの継続。否、これまで以上に奮起した挑戦だ。たとえ母親まで失おうとも立ち止まりはしない。

 考えているうちに目頭が熱くなるのをリアは覚えた。慌てて首を振った。

 バカなっ! 訓練の最中に泣きそうになるなんて!

 己を責めた。

 着弾音とアルの声が響いた。リアが顔を上げると、昨日の戦闘と同じようにアルが床に転がっていた。ヴァン・キ・ラーゴの形態は、同じく砲撃タイプだ。

 リアは苦笑した。

 昨日と同じ負け方だった。その上、時間が短かった。どうせ、よそ見でもしていたに違いない。原因は分かっていた。分かっていたので強くは責めないことにした。

「こらっ! 『次は、勝つ』んじゃなかったの?」

 間延びしたアルの謝罪の声が聞こえた。

「もう一度よ!」

 笑って、リアは宣言した。

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