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1-14 リアの涙
長文なので分割してアップしてあります。
枝番のあるものは一つの文章です。
サブタイトルは便宜上付与しました。
「リアは魔王への道を諦めるの?」
「?」
アルの言葉にリアは顔を上げた。
微笑んだアルがいた。
「ぼくの味方はもうやめるの?」
問いかけは、出会った日のリアの言葉を指していた。リアは慌てて首を振った。
「違うわ。あたしは今でもアルの味方よ」
アルが笑みを大きくした。
「だったら、ぼくも同じ。ぼくもリアの味方だよ」
リアは言葉を失った。
次に言葉を思い出したのは、頬を濡らす涙に気づいた後だった。
「あれ…?」
リアは戸惑っていた。涙など、長い間忘れていた。目元に手を当てると顔を俯けた。
「…ありが…とう」
涙が止まらなくなり、リアはそれだけ言うのがやっとだった。
アルは黙ってそばにいてくれた。
優しさが身に沁みた。