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魔王になるには?  作者: 水原慎
第四章 決着
250/312

1-12 父親の死の影響

長文なので分割してアップしてあります。

枝番のあるものは一つの文章です。

サブタイトルは便宜上付与しました。

 アルとリアは、初めて出会った時のように向かい合って椅子に座っていた。

 リアの部屋の居間だった。二人とも押し黙っている。外では強く雨が降っていた。

 朝、待ち合わせの場所に行く時、リアは少し遅れた。手紙を読んだ後、気持ちを立て直すのに時間がかかっていた。いつも通りに振る舞ったつもりだったが、自信はなかった。挨拶を交わした時を手始めに、アルが何か言いかける度に先手を打って話しかけた。それだけで十分に不自然だったかもしれない。

 いつもの場所に向かう途中で雨が降り出したのを幸いに、朝食の場所をリアの部屋に変更していた。リアは訓練を始める前に父親のことを伝えるつもりだった。

 リアの父親のように広大な領地を治める者には、魔王と同じく世襲が許されていなかった。代わりに任期はなく、不祥事による排除、引退、死去など理由の如何を問わず地位を退くまで務めることができた。リアの父親の場合は死去による引退に該当する。

 ただし、統主や令主の場合には例外的に世襲が認められる場合があった。魔王と異なり、女性種でも構わない。一つは公明で正大な実績の確保だ。リアの場合は調制士となった事実が相当する。

 問題なのは王選びが終わっていないことだった。リアには魔王の調制士となる夢を途中で投げ出す気などなかったし、投げたところで跡継ぎとしては認めてもらえない。一年という任期を全うしていないからだ。となれば、リアが令主の娘ではなくなり、貴族の地位を失うのは必定だった。

 魔族の世界では、王選びのように地位を向上させる仕組みが用意されている。当人次第でいくらでものし上がれるのだ。それは同時に、いつでも地位から滑り落ちる自由が与えられていることでもあった。昇るチャンスがある一方で、落ちるのは簡単だった。だからこそ、両親は調制士としての教育を惜しみなくリアに施したのだ。

 幸い、令主を務めた者には功労金が支給される。地位相応に多大だ。父親自身は任命の際に商売は手放していたが、母親が受け継いでやっている。それなりに蓄えもあるので、生活には困らないはずだった。だとしても、政治的な地位と権力を失ったことに変わりはなかった。

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