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魔王になるには?  作者: 水原慎
第一章 邂逅
25/312

2-11 血で穢れた白いハンカチ

長文なので分割してアップしてあります。

枝番のあるものは一つの文章です。

サブタイトルは便宜上付与しました。

「離すわよ」

 アルに断って手の平を外すと傷を眺めた。

 血は止まっていた。まだらな血の汚れに囲まれた傷は筋目にしか見えない。放っておいても構うまい。そうリアは判断した。

「傷を見せて」

 アルの手を取る。アルの傷はまだ生々しかった。血が浮き出ており、細い筋を引いて手首に向かって流れていた。いくつかは乾いている。

「治癒室に行かないと」

 リアはスカートのポケットからハンカチを取り出すとアルの手に巻いた。白い布地に染みた血が斑点をつけた。アルが気にした。

「汚れちゃうよ」

「大したことじゃないわ。儀式は終わりよ」

 ハンカチに結び目を作ると、リアは祭壇の上に置いておいたナイフを取り上げた。ナイフは手の中で元のボタンに姿を戻した。制服のポケットに仕舞う。ボタンは後で係の人間に取り付けを依頼するつもりだった。裁縫用具など手元になかった。

 退出を促すとリアは入口に向かって歩いた。アルが遅れて続いた。

「あ、あの」

 声をかけられたリアは振り向くと次の言葉を待った。

「君の相転儀って、何?」

 問われたリアは意味深な笑みを浮かべた。

「そのうち嫌でも分かるわ」

 それだけ言うと先に立って歩き、アルの荷物を手に取った。閂を外し、ドアを押し開く。

「まずは治癒室」

 笑みは親しみを含んだものに変わっていた。

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